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[ULTIMATE MC BATTLE 2008 GRAND CHAMPIONSHIP]全国大会決勝 @ なんばHatch 12/27(土) 2008


2008年の「Ultimate MC Battle」での最大の注目は、やはり般若Hidaddyだった事に異論はある人はいないだろう。
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2002年の「B-Boy Park」以来のMCバトル突如参戦で激戦区東京を勝ち抜いた般若。そして4年連続大阪代表のフリースタイル・キングHidaddyのバトル引退宣言など始まる前から話題満載の2008年。そして結果的にこの2人の存在が、今年のMCバトルを日本のヒップホップ・シーンの歴史的1ページにしたと言っても過言ではない。

それほどまでに凄まじくも感動的な大会でした。毎年東京で行われていたのが、今回はここ大阪で開催。日本のヒップホップ・シーンでも最も注目される全国大会決勝だけあって始まる前から独特の緊迫感とお祭り感。会場中の至る所で著名人を散見しましたね(入口ではG.K.Maryanと元Blast編集長の伊藤を発見。おこじょ大超とか大阪のMC達も大勢いましたね)。

さてオープニングは我らが大阪の兄貴、SHINGO★西成のライブでスタート。
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さすが現場テイナーのSHINGO★西成兄貴だけあってパーティといてまえと私(Remix)、続くIll西成Bluesで会場を一気に沸かせます。そして次の曲でいきなりMSC心にゆとりとさわやかマナーのイントロが流れ出し、SHINGO兄貴の「この曲が流れたら誰が出てくるか分かるやろ?」というMCと共に、事前にアナウンスのなかったMSCがほぼフルメンバーで登場(麻暴とかJuswannaも揃ってましたね)!
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もうその時点で会場が完璧にヒートアップ。SHINGO★西成Juswannaの2人も交えた音信不通や、全員参加のDopeな新曲も披露。お祭り感満載のライブを堪能しいよいよ本選へ。

地方予選を勝ち抜いた16名のMC達によるバトル。予選大会は8小節のフリースタイルを交互に2回づつ繰り返す合計4回だったのに対し、この決勝大会は8小節を交互に4回づつ繰り返す合計8回のバトル。そして会場の客には誰がどういう組み合わせになっているか分からなく、登場を待つしかないこのワクワク感が堪りません。ボクシングの入場みたいに控え室からステージに上がるまでカメラで追っているのが面白いです。毎年導入されていた会場の声の大きさを機械で判定するシステムが今年から無くなっていたのも個人的には良かったですね。

1回戦第1試合は水戸代表Gotit(ガッティ)と沖縄代表Jafem。トラックはSoul Scream蜂と蝶
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本島のMCに対して沖縄人としての意地を見せつけるJafemを、昨年の優勝者水戸代表GocciをリスペクトしまくるGotitのアツさが上回りGotitの勝利。

そして第2試合。早くも大阪代表Hidaddy登場。
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2006年のFork戦、そして2007年のBes戦と名バトルを繰り広げながらも1回戦で敗退してきた大阪代表Hidaddy。地元大阪というだけあって会場からの歓声もハンパなくデカイです。岡山代表La-Men Doggも十分に健闘するがやはり韻の面白さで会場を沸かしたHidaddyの圧勝でした。

第3試合は福岡代表の智大(ちひろ) 対 北海道代表のしろくま
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ライム巧者っぽくストレートにカッコよさを見せる智大と、こちらはアブストラクト・ヒップホップに影響を受けた完全に異端なライミングとフローを見せるしろくま。ほとんど小節を切ることなく矢継早にライムを詰め込むオリジナルなフローだが、フローの斬新さの割りにリリックの内容がついて行っていないような気がしましたが、智大が自分の番を間違え完全に止まってしまうというミスで惜しくも敗退。智大はちょっと気の毒でしたが、これも実力のウチ。場慣れして来年も挑戦して欲しいです。

そして第4試合。ラキムをリスペクトしまくる千葉代表シーモンキー(入場曲もラキム!)。そして対するは東京代表般若
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何か今年の般若は登場から全く他の出場者と気色が違いました。まず入場からクルーの面々を引き連れて登場する他の出場者に対し、般若は控え室からたった1人。派手なパフォーマンスをする事もなく無言・無表情で登場(入場曲はもちろん長渕剛とんぼ)。何でも東京から来る時に関係者に「来るな」と言っていたそうで(でも会場で剣桃太郎を見かけましたが)、単身乗り込んできた気迫が他のMC達を圧倒していた気がします。もちろん般若の圧勝。

第5試合の広島代表Bupponと名古屋代表K.Leeは、激戦の末Bupponの勝利。第6試合の神戸代表P-Pongと新潟代表の巨漢MCのTotorowP-Pongは毎年大阪予選で姿を消していましたがそのスキルはかなりの実力で毎年印象に残っていましたが、今回のバトルでもスキルの差を見せ付けてP-Pongの圧勝でした。
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第7試合は地元関西から京都代表Racy 対 愛媛代表yskyskは今回初めて観たMCですがかなりの伏兵でした。Seedaのようなスキンヘッドの風貌でスキルの高いライミングが個人的にはかなり気に入りましたね。Racyもかなりの巧者なのでyskとの実力が均衡していましたが、今回はyskの辛勝でした。

そして1回戦最後の第8試合は仙台代表Taic(タイシー) 対 横浜代表Y.A.S.Taicのスキルはハンパなく「フリースタイルがレコーディングされた音源のように聞こえる」と言われるだけあってもの凄い綺麗なフローとライミングにマジに驚きましたが、Y.A.S.がライミングの内容で圧倒。残念ながら負けたながらもTaicの実力はかなりのものでしたね。



さて1回戦8試合が終わり、16人から8人に絞られていよいよ2回戦準々決勝に突入。

1試合目はGotitHidaddy。やはり実力・人気ともにHidaddyが圧勝でした。
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Gotitの「お前に渡す地獄への招待状」に対して、Hidaddyの放ったリリック「地獄へ行ったら俺は閻魔大王 お前が優勝には縁がないよう」で勝負アリ。

そして続くは、しろくま般若
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クールなしろくまに対し、般若のアツさが圧倒的に上回っていましたね。あまり相手の目を見ずにフロアに向けてライムするしろくまに対して、「こっち見やがれ」と檄を飛ばし、それでも向き合わないしろくまに対して「おい!しろくまもっと気合い入れんか!!」で完膚なきまでに叩き潰した般若。マジで気迫が違います。しかも判定を見ることなくさっさと帰っていく姿もアツい。

続くBupponP-PongP-Pongの圧勝。その後、個人的にかなり印象に残った対戦のyskY.A.S.yskの「秋が来て 春 そして冬が来る お前にやるよ冬休み」に対して、Y.A.S.の放った「冬が来て 春が来て 秋が来る そしてお前のラップも飽きがくる」のパンチラインにはマジで鳥肌が立ちましたね。延長戦の末、Y.A.S.が勝利。1回戦からY.A.S.のスキルがどんどん進化しているのが分かります。 

そして途中に、昨年の優勝者Gocciのライブを挟み(Going OverDon’t Test Da Masterなどクラシック連発でしたが、Don’t Test~でもあまり盛り上がってなくてビックリしました・・・時代なんでしょうね)、準決勝へ。

遂に実現した大阪代表Hidaddy 対 東京代表般若!誰もが待ち望んでいた今大会の一番の対戦でしょう。会場も割れんばかりの大歓声です。
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この試合からは試合前にシャウトをもらうのですが、般若は相変わらず無表情でシャウトさえも拒否。気迫を見せ付けます。Hidaddy般若との対戦でアツくなっているのが分かりましたが、「俺が目指してるのはヒップホップのその先」という般若の意志の強さがHidaddyを上回っていました。負けたHihaddyもある意味達観したような感じで、「大阪の応援してくれたみんなありがとう そしてごめんな」という言葉でバトルの引退を宣言。一時代の幕が下りた瞬間でしたね。

続いてはY.A.S.P-Pong
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Y.A.S.が前日まで風邪引いていた内容のリリックに対し、P-Pongの「俺のライムはインフルエンザ 俺は言葉でココで韻踏む現場」はかなり燃えましたが前試合で更に進化したY.A.S.の前に惜しくも敗退でした。


そして決勝は東京代表般若 対 横浜代表Y.A.S.
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一般的に不利と言われる先行をあえて般若が選択。凄まじい気迫と共にスタート。般若の「俺はお前なんかと違ってプロとしてラップやってんだ」とのリリックに対して、Y.A.S.の「あんたと違って俺は嫁や子供だって食わしてやらなきゃなんねーんだ 俺だって意地持ってやってんだトヨタの下請け」というラインに個人的に完璧にヤラれました。もう涙出てきましたよマジで。
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般若も「どうやらお前は本物と認めなきゃなんねぇようだな」と返したりとスキル以上の感情のぶつかり合いに泣きましたね。個人的にはY.A.S.がそのハンパない情熱で般若をも上回っていたように思いましたが、会場の判定は般若。しかし審査員の判定はY.A.S.で延長戦に突入。

延長も感動的なくらいアツいバトル。
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般若も完璧にY.A.S.を認めて「俺とお前がやってるのは本格派」というリリックを繰り出しもう凄いバトルでした。このバトルはもう日本のヒップホップの歴史の1ページを刻んだと言ってもいいです。それくらいもの凄いバトルでした。どちらが勝っても遜色ない内容でしたが延長戦の末、2008年の「Ultimate MC Battle」の頂点に立ったのは東京代表般若!!試合後、両者による硬い握手もまた泣かせましたね。
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そして優勝後の般若のフリースタイルも感動的でした。「俺はガキの頃からなったことがなかった一番に でもこんなのに意味はないんだ 俺よりもお前らの方がはっきり言って全然上手ぇ でも違うのは負けねえって魂だけ してねえ手加減 関係ねぇ勝ち負け」。
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長年般若を応援してきたのでこの優勝にはかなり感慨深いものがありましたね(でも決勝でY.A.S.に声を上げてしまいましたけど・・・)。般若の言う通りで、日本のヒップホップはこれからシーン全体で上がっていかないとこれ以上の発展はないように思えます。日本のレゲエ・シーンがあれほどの盛り上がりを見せているのはやはりシーン全体の一体感があるからで、Disが中心のヒップホップ・シーンにはその一体感が欠けていたのですが、このMCバトルの浸透によって、シーンの「横の繋がり」が出来たように思えます。

こうやって新人や大物が年齢や集団に関係なく挙って参加する事によりシーンを盛り上げ、さらに日本のヒップホップ界を発展させていって欲しいです。その意味でもこの「Ultimate MC Battle」の存在はまだまだかなり重要だし、今年般若が優勝した事の意義も非常に大きい。

是非とも来年も、もっと大勢のMC達に参加してこのシーンを盛り上げていってもらいたいです!

         
by Blacksmoker | 2009-01-21 23:52 | ライブレポート
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