THE FIVE CORNERS QUINTET @ Billboard Live Osaka 1/13(火) 2009


そういや、このブログの初のライヴ・レポートがこのThe Five Corners Quintetの初来日公演でしたね。

50年代の黄金期のジャズを現代に蘇らせるというコンセプトを元にプロデューサーのトーマス・カリオによって集められたフィンランドの若き天才ジャズ・プレイヤー集団であるThe Five Corners Quintet。彼らの初来日公演は、その50年代のジャズを体験したことのない者でも、まるでその時代にいるかのような擬似体験をさせてくれるライヴでしたが、それから3年。
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この間に彼らは世界各国で100本ものライヴを行ったという。プロジェクトとして集められたユニット的なこのThe Five Corners Quintetだが、トーマス・カリオはレコーディングとライヴは一切別物と考えているらしく、レコーディングでは全ての音をコントロールするのに対して、ライヴでは一切口を挟まないというスタンスを取っているようですね。よって、この3年間でバンドとしてのThe Five Corners Quintetがどう変わったかが注目の一つ。

そしてもう一つの注目は新作「Hot Corner」(右写真)でしょう。前作「Chasin’ The Jazz Gone By」で見せたクールなジャズから一転してタイトル通りf0045842_334657.jpgのアツいドライブ感のある内容なのです。1stシングルShake Itからしてもうライヴ映えする出来。アルバム全体もドライヴ感満載の曲ばかりの素晴らしい内容(さらには前作から引き続いてジャズ界のレジェンド、マーク・マーフィも参加!)で、個人的には前作よりも気に入っており、それがライヴではどう再現されるのかも注目です。

前回のライヴではトーマス・カリオがライヴ前にステージに登場しThe Five Corners Quintetを紹介していましたが、今回はそのトーマスは帯同せずThe Five Corners Quintetの5人だけで堂々の登場です。
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1曲目から、3年間のライヴ活動の成果が一目で分かるビルドアップぶりに驚きましたね。その1曲目は意表を突くデクスター・ゴードン&スライド・ハンプトン・セクステットA Day in Vienna!これはThe Five Corners Quintetをリリースするレーベル「Ricky-Tick」のレーベル・オーナー、アンチ・エーリカイネンが60年代の北欧ジャズ・シーンの音源をコンパイルしたアルバム「On The Spot - A Peek At The 1960's Nordic Jazz Scene」に収録されていた1969年のナンバー。いきなりこの曲からスタートなんてどんだけマニアックなんだ?でもこの曲、ヤバいです。選曲からして最高。そして初っ端から各メンバーのソロタイムを挟んだ余裕の演奏。前回観た時より格段にビルドアップされていてホントに驚きました。
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特にトランペットのユッカ・エスコラとサックスのティモ・ラッシーのフロント2管の存在はかなり大きく、そのパフォーマンスもかなり堂に入っており、また見せ方もライヴ慣れしたものになっていましたね。その中でもティモ・ラッシー(左写真)の貫禄ぶりは前回とは比べ物にならないほど。彼の2006年のソロ・アルバム「The Soul & Jazz Of Timo Lassy」も最高にカッコいいジャズで度肝を抜かf0045842_3443379.jpgれました(High At Noonは超名曲!)が、今回のこのライヴでもブロウしまくるサックスが炸裂で、人気者のユッカ・エスコラをも凌駕する暴れっぷり。「暴れる」と言ってもステージ上で動きまくるという訳ではなく、「」で暴れる。低音でグイグイと上げてくるテナー・サックスが、レコードで聴くようなスッキリ洗練された音ではなく、ライヴならではのラフさも加味された音でケツを蹴り上げてくれます。自身の作曲したSkinny Dippingはその真骨頂。ユッカや、ピアノのミカエル・ヤコブソンにもおいしいパートを持たせながら最後は自分が持っていくワルさが痛快。さすが3年間のライヴの成果だ。レコーディングだけに囚われない自由な思想がライヴには溢れている。

そしてドラマーであり、ライヴ活動をする時のThe Five Corners Quintetのリーダーであるテッポ・マキネン(右写真)。この男が今回最も変化した人と言ってよいでしょう。この天才集団のリーダーとしての統率力を十分に発揮してしっかりコントロールする姿はまさしく「プレイイング・マネージャー」。自身のソロは少なめに、そして各パートをしf0045842_348456.jpgっかりと目立たせながら、時には声を出し、バンドの音をキッチリと纏め上げてエンディングへ持っていく姿も以前のライヴでは観れなかった光景。しかも前回でみせたシンバル中心のリズムは鳴りを潜め、今回は新作の音に合わせてタムをフル活用。ドラムソロでは意外にも、手数少なくタムを中心の今までにあまり観た事のない変わったドラムソロを披露。これは一見派手には見えないんですが、実はグルーヴ感勝負なドラミングで、これがホントに超印象的。前回のライヴでの手数の多いドラミングも観てるのでこのテッポ・マキネンの実力の高さは証明済みなんですが、こういうドラムを見ると「やはりドラムは手数じゃないんだな」というのが分かりますね。

ほぼ新作中心のセットでWartz UpEasy Diggin’などバッチリ披露。ソロ・パートもガンガン挟んで、どんどん進化していく姿がよく分かります。レコードより格段にライヴの方が素晴らしいですね。
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昨年出たAtomicの2枚組の新作「Retrograde」もスタジオ盤よりもライヴ盤の方が圧倒的に素晴らしかったし(そして実際のライヴの方がもっと凄かった)、やはりこういった実力のあるバンドのライヴは格別だ。公演ごとにソロや演奏曲も違うだろうし、PhishPearl Jamのように毎公演ごとのオフィシャル・ブートレッグ的なライヴ盤をリリースしてくれたら絶対に買うでしょうね。
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超初期の曲Blue Printなども披露しつつ最後は、新作の発表前に出た先行EP「Hot Corner EP」(右写真)に収録されているドライヴ感全開のShake Itアンチ・ロジョネンのグルーヴィなベースラインに引っ張られ、メンバー全員が楽しく音でf0045842_3595527.jpg暴れまくる姿は観てるこっちも爽快です。ユッカのトランペット、テッポのドラム、ティモのテナー・サックス、そしてピアノのミカエルのプレイの一挙手一投足が目を離せないほど圧巻。スーツ着てクールに演奏している音ではないですね。ユッカ・エスコラテッポ・マキネンの2人はスーツあんま似合ってないし。しかし、こうもライヴ・バンドとしてビルドアップされた姿を見せられるとは予想していなかったですね。

まだまだ進化するThe Five Corners Quintet。今回のライヴも新境地を見せ最高でした。次回はどんなライヴを見せてくれるのか今からすでに楽しみです。
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新作「Hot Corner」の日本盤のキャッチ・コピーには「“ジャズの未来”、ここに極まる」なんて書いてありましたが、大きな間違い。彼らはまだまだ進化の途中なのです。

    
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by Blacksmoker | 2009-01-27 02:52 | ライブレポート
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