Atom™ @大阪ワールド・トレード・センタービルディング展望室 6/13(土) 2009


傑作「Liedgut」をリリースしたばかりのドイツ人エレクトロニック・ミュージシャンAtom™、またの名をアトム・ハート、そしてまたの名をセニョール・ココナッツ

f0045842_14581.jpgいくつもの名義を使い分け多作な彼が、あの「Raster-Norton」からのリリースという事でAlva Notoのような一切の人間的感情を排除した硬質なエレクトロニクス・サウンドが展開されるのかと思いきや、その新作「Liedgut」(左写真)のサウンドは予想外にも、今までの現代エレクトロニクスの歴史を俯瞰したような様々な要素(Alva Notoはもちろん、OvalFennesz、さらにはJeff MillsAphex Twin、さら遡ってKraftwerkまでも!)を持ち、それらが「ポップ」という文脈でも見事に結実した傑作でした。

そんなAtom™の来日公演。場所は大阪南港にそびえ立つワールド・トレード・センタービル(WTCコスモタワー)。その最上階55階にある展望室が今回の会場だ。エレベーターで52階まで昇っていき、そこから40mの長さのエスカレーターで上がって行くとその先に現れる展望室。地上252mのその空間は360度全面ガラス張り
f0045842_1133189.jpg
眼下に大阪の夜景が広がるという風景は、まるでバブル期の名残りを若干感じさせますが、その様子はまるで「天空の城」です。そんなありえない非日常的空間でAtom™のライヴが観れるなんて嬉しすぎます。

さて現れたAtom™はバッチリと黒いスーツに身を包んだ出で立ち。機材の置かれた卓の前に佇む姿はまるで「1人Kraftwerk」。
f0045842_1115925.jpg
機材もシンプルにTenori-OnMPC、そして足元にはペダル2個のみ。

そして、そこから出される音は最新作「Liedgut」とは全く違ったスピード感溢れるダンサブルな音。Atom™というより、アトム・ハート的な音ですね。

面白いのはステージの両側に配置されたスクリーンの映像。
f0045842_1155028.jpg
左側のスクリーンには音とリンクして不思議な動きをする映像(ビートのキックに合わせて映像が変化したりする)が映し出されていきます。そして逆の右側のスクリーン。こちらには真っ黒いバックに緑色の電光の文字列が映し出されている。一見するとパソコンのプログラミング画面のように見えるが、よく見ると徐々に文字列が変化していっています。

これは何と操作パネルの画面をそのままスクリーンに映し出しただけなんですね!
f0045842_1165691.jpg
要するにAtom™が今、手元で操作している機材の画面がリアルタイムで映っていたのです。イコライザーやエフェクターやピッチ、そしてドラム・パターンなどを変化させていく画面だけを見せるという「視覚的に全く面白くないもの」を逆に視覚的に利用し、逆に現代のエレクトロニクス機材の最先端インターフェイスである視覚効果抜群のTenori-Onを、全く視覚的に演出せずに音のみで使用するなんて、何て使い方!!この逆転の発想に度肝を抜かれましたよ。
f0045842_1233612.jpg
無表情でほとんど動きを見せないAtom™のライヴが視覚的にここまで楽しませてくれるものだとは予想外でした。しかも大阪の夜景が眼下に広がるこんな場所で行われているというパラドックス!

ライヴの方はBPMを定期的に変化させながら、終始Tenori-OnMPCのみで作られたサウンドだけで通し切っていく姿には神々しさすら感じましたね。そしてそれが場所の非日常感とも融合して、とても奇妙な磁場が作られていましたよ。
f0045842_1243425.jpg
今年観た中では奇抜なアイディアと音楽、そして非日常的な空間も相まって最もファンタスティックなパーティだったと言っても間違いないです。そしてこの会場は是非もう一度行って見たい場所ですね。

あとAtom™が気になった人は、新作「Liedgut」が素晴らしいので是非聴いてみて下さい!

  
[PR]
by Blacksmoker | 2009-07-03 00:39 | ライブレポート
<< AGORAPHOBIC NOS... AKRON/FAMILY @京... >>