AGORAPHOBIC NOSEBLEED [Agorapocalypse]


スコット・ハルという男をご存知だろうか?

Anal Cuntのギタリストであり、現Pig Destroyerの中心人物である奇才ギタリストだ。ちなみに自身のソロ・アルバムでは、それらの常軌を逸した音楽とは全く違うアンビエントなラウンジ・ミュージックを見せるグラインド・コア界の鬼才とも言える。

f0045842_045928.jpgそんなスコット・ハルのバンドの一つでもあるこのAgoraphobic Nosebleed。その新作「Agorapocalypse」がマジで凄い(いや、毎回凄いんですが、今回は特に凄い!)

スコット・ハルの数あるプロジェクトの中で、このバンドの特徴はその「速さ」だ。このバンドの目指すのは「限界を超えた速さのグラインド・コア」。その速さはもう人間の力では実現出来るものではない為(噂ではBPMは1,000以上あるとか!)、マシンドラムを使用しており、ドラマーはいないのです。そしてその速すぎて判別出来ないくらいの超高速ブラストビートに合わせて渾然一体となって襲い掛かる叫びっぱなしのヴォーカル。そして速すぎる展開を見せる殺傷力抜群のギターとベース。もう聴くだけで相当の体力を要します。
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そんなAgoraphobic Nosebleedの7年振りとなる新作。7年振りと言ってもEPやらスプリット盤やらを多発しているので、全く不在感はないですね。そういや2005年にリリースされたシングルや未発表曲を集めたEP「Bestrial Machinery」は2枚組で136曲収録という凄いインパクトでした。(あと、スコット・ハルが編集した反ファシストの為のグラインド・コアのコンピレーション「This Comp Kills Fascists」も壮絶で必聴!)

さて今回このAgoraphobic Nosebleedは、バンド編成、そしてサウンドともに多少の変化があります。まずは新メンバーに女性ヴォーカルが加入した事!何とツイン・ヴォーカル体制になったのです。Salomeというバンドで活動するKatherine Katという女性なんですが、写真で見たらたまげました。
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ブロンド・ヘアーのあどけなさが残る少女じゃないですか!!見様によっては未成年じゃないかと思えるほどです。こんな女性がAgoraphobic Nosebleedみたいなバンドに入っても大丈夫なのかと思いましたが、一聴して納得。杞憂でした。もう1人のヴォーカルを喰うくらいの怖ろしいスクリーム&グロウルにケツを蹴り上げられますよ。他のヴォーカルとどう違うのかと聞かれても、全く同じ系統なんでそんなものは良く分かりませんが、この代わる代わるに吼えまくられる様はもう拷問のようです。
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さらに今回はサウンド面でも変化があります。BPMを限界まで速める事を命題にしていたこのバンド。今回はBPM1500くらいまで行くんじゃないかと想像していましたが、予想に反して今回はBPMを落としてきました(それでも一般のグラインド・コアと比べても十分に速いんですが・・・)。今までは正直言うと、BPMを上げ過ぎることによって少し単調感が出ていたことは否めなかったので、この部分を改善して楽曲としての完成度を高める方向にシフトしたのかも知れません。今まで1曲20秒くらいの曲ばかりだった彼らが今作では2~3分の曲が中心になっています。曲数も13曲という最も少ない曲数です。

しかし、この変化が大正解

まず1曲の中で展開を持たせることで単調感を払拭し、さらに鬼のように鋭く殺傷力のあるギターリフの多様さが今までで最も光ります。アルバムとして最後までしっかりと飽きずに聴ける点に於いて、更に楽曲のカッコ良さという点に於いても、今作はAgoraphobic Nosebleedのアルバム中で最も素晴らしい出来でしょう。
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そして毎回驚くのですが、このマシンドラム。プログラミングに相当な時間を掛けているのが、聴いていてよく分かる程、技の多いドラミング。バスドラが速いだけでなく、シンバルやハイハットのヒット音、さらにはタム回しやら技があまりにも巧妙すぎて人間が叩いているとしか思えません!曲の途中でドラム・ソロが登場する曲があったりもして、全く機械だとは考えられません・・・。凄いです。

もうこうなるとPig Destroyerとのサウンドの違いが分からなくなってきそうですが、まあそんな事はどうでも良いくらいのブチ切れまくったサウンドです。素直に楽しんで、この激烈なサウンドに圧殺されるのみでしょう。
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by Blacksmoker | 2009-07-09 00:38 | 極北
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