人気ブログランキング | 話題のタグを見る

HAYDEN [Everything I Long For]

先日、マイメンnakataとジャズのレコードの発掘に行ってきました。フリージャズやらイタリアのジャズやらいろいろ漁ってきて、「50年代~60年代のジャズは、ジャケがマチガイなければ内容もマチガイナイ」 とかいろいろ喋ってまして…。

HAYDEN [Everything I Long For]_f0045842_124752.jpgそしてチャーリー・ヘイデンの話題になった時に、ジャズとは全然関係ない話題で、なぜか「10年位前にデビューしたヘイデンはヤバかった」という会話になって、たまたまiPodに入っていたヘイデンのデビューアルバム「Everythin I Long For」をさっそく車で久しぶりに聴いてみたらほんとにヤバかった!(ちなみにチャーリー・ヘイデンではありませんよ。ただのヘイデンです。)

1996年にカナダのトロントから現れた謎の新人ヘイデン。当時(ごく一部で)驚異の大型新人的扱いで話題になったので憶えている人もいるでしょう。雑誌などではベックカート・コバーンと比較されたりもしていましたね。今考えたらなぜだか良く分からんけど…。デビュー・シングル「Bad As They Seem」 は野太くヤボったい声で歌われる4トラックで宅録されたシンプルな弾き語りのフォーク・ブルース。こんな地味な歌がなぜ話題になったんだろうか?おそらくグランジ旋風が吹き荒れていた当時の時代性もあったんだろうが、ヘイデンの歌う歌詞の内容もその要因の一つだろう。この「Bad As They Seem」 は16歳の少女とその母親の両方に恋をする43歳の男の視点で歌われる。「どうしようもないこの状況は思ったとおり最悪だ」 と歌われる歌詞はフィクションだが実に生々しい。「何にも変わらない絶望的な状況」を歌うという行為はグランジ世代(Generation X)の代弁者のように映ったのかもしれない。

HAYDEN [Everything I Long For]_f0045842_1324118.gifその他の曲も非常に変な視点の歌詞が多い。愛人が出来た為に邪魔になった子供を車に閉じ込めたまま湖に沈めたスーザン・スミスという女性の実在の事件を、沈められていく車の中の子供の視点で描かれた「When This Is Over」 という曲の内容は強烈だし、湖で溺死した妻を忘れられず、冬になったらスケート靴を履いて湖に出て行く男の歌「Skates」 も不気味だ。女性とのうまくいかない関係を歌った少し変質狂的な曲も多いなぁ。曲調もあまり変化のないフォーク・ブルース。声質はトム・ウェイツに似ている。

しかし、なんて暗いアルバムなんだ!!こんな地味なアルバムが売れたのか?売れたんだっけ?その後全く名前を聞かなくなったので売れなかったのかもしれない。やはり地味すぎる存在だったからだろうな。でも、このアルバムは地味ながらも実に味のあるアルバムだ。ハマるとヤバい!当時ハマった人も多いんじゃないか?今あらためて聴くとヤバいですよ。1年に1回くらいは棚から引っ張り出してきて聴きたくなるアルバムですねぇ。

調べたらその後も何枚かアルバム出していたので活動はしてるようだ。なんかホッとした。
by Blacksmoker | 2006-04-13 01:34 | FOLK
<< GREEN DAY [Bull... CASSANDRA WILSO... >>