2018年の12枚。

日本だけでなく世界的にも災害の多かった激動の2018年。
政治的にも対話が進んでるようで何も進んでない停滞感が漂う。トランプ大統領の排外スタンスに追随する国も多く現れ、「終わりの始まり」という言葉がよく似合う年だった気がします。今までは欧米以外のアフリカや中東の音楽を「第三国の音楽」として聴いてきましたが、今やアジアの音楽も異常に面白いですね。ネットでほぼ聴ける環境も素晴らしいです。
CDは今年も買ったのは10枚くらい。アナログ盤ばかり買ってました。あとはストリーミング。この前京都の某レコード店の店主に「でもCDの時代は絶対に戻っていくる」と言われましたが、さてさて? それでは2018年の私の代表するアルバム、今年は12枚!

<2018年の12枚>

■第1位
Mary Gauthier [Rifles & Rosary Beads]
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35歳で初めて曲を書いたというくらい遅咲きのシンガーソングライターMary Gauthier(メアリー・ゴウシェ)の11作目。このアルバムは戦争から帰ってきた帰還兵のアメリカ人に話を聞いてそれぞれの人たちの物語を曲にしたという4年がかりのプロジェクト。
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全部で11曲ありそれぞれ11人の名もなき兵士の知られざる戦争のストーリーを歌にしています。これぞフォークミュージックの真髄。幽玄な演奏と郷愁的なメロディと深い歌詞。56歳にしてその表現力が素晴らしい。


第2位
Cypress Hill [Elephants on Acid]
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「いまさらCypress Hillかよ!」と思うかも知れませんが、この新作はそんなナメてる奴を余裕でブッ飛ばす強力なトリップ・アルバム。DJ Muggsの見た夢をもとに作られたエスニックでサイケデリックなラップ曼荼羅で、60年代後半のドラッグでラリったサイケロックバンドのような超危険なアルバムです。


■第3位
Thou [Inconsolable]
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ニューオーリンズの怪物スラッジThou(ザウ)。2018年はEP3枚とRaganaとの共作アルバムとフルアルバム[Magus]をリリースし、どれも全部強力な内容でしたが、その中でもこのEPはなんと全編アコースティックという仰天の内容。
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轟音と叫び声しか聴いたことがなかったが、こんなダークで美しい音楽を提示してくるとは全く底知れない怪物です。



■第4位
Sons Of Kemet [Your Queen Is A Reptile]
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ロンドン出身のサックス奏者Shabaka Hutchings率いるサックス+ドラム2台+チューバという4人組ジャズバンド。2台のドラムの変則的なビートの上をShabakaのサックスが暴れまくり、さらに土着的なチューバが低音を支えているという既成概念を超えたサウンド。
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「お前たちの女王は卑劣だ」というタイトル、そして曲タイトルが全部黒人の女性活動家という、サウンドも姿勢も全部が超攻撃的なアルバムです。



第5位
David Byrne [American Utopia]
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14年振りのソロ新作。何層にも重なった緻密なサウンドに、異常にポップなメロディ、皮肉たっぷりの歌詞などやっぱ圧倒的な天才ぶり。盟友Brian Enoも絶妙なサポート。ソロ・キャリア史上最大のヒットというのも凄い。現在の編成でのライヴ・パフォーマンスも圧巻。



第6位
Makaya McCraven [Universal Beings]
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ヒップホップ・センス抜群のシカゴのジャズ・ドラマーMakaya McCravenの大作。Carlos NinoやMiguel Atwood-Ferguson、Jeff Parker、Shabaka Hutchingsまでゲスト参加したスピリチュアルでハイブリッドなビート・アルバム。


第7位
神門 [エール]
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2017年に三年をかけて作った[親族]というアルバムが全編”葬式”をテーマにしたとてつもないミニマルな作品でしたが、今回は自分の身の回りの出来事から他者になりきって歌う曲などテーマは様々ですが、その切り口がちょっと震えるくらいオリジナルな視点で脱帽します。ご近所さんから戴く”お裾分け”をテーマにした「土産」という歌にはもう完璧に唸らせらました。ラッパーでありながら、もう韻も踏まなくなりポエトリー・リーディングのようなスタイルですが、この男の言葉の力をまざまざと見せつけられました。



第8位
August Greene [August Greene]
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ラッパーCommonが、Robert Glasper(key/piano)、Karriem Riggins(drums/beat)と組んだ玄人受け抜群の新ユニット。このユニットの肝はKarriem Rigginsで、変則的で微妙にズレたビートを平気な顔で繰り出してます。あとの2人は余裕の安定感。ウルサ型のジャズ・リスナーも唸ります。



第9位
Royce Da 5’9"
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デトロイトの41歳のベテラン・ラッパー、Royce Da 5’9”(ロイス・ダ・ファイヴ・ナイン)の自伝的内容の新作。巧みなライミング、ラップの表現力、フローの豊富さなど若手ラッパーには到底出せないスキルの高さに平伏します。若手最高峰のJ.Coleを迎えた”Boblo Boat”、そしてEminemを迎えた”Caterpillar"の凄さはちょっとハンパない。



第10位
Kamasi Washington [Heaven and Earth]
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驚異の4枚組LPという超大作(隠しEPも含めると5枚組!)。前作での世界観はもっと壮大に広がり、ファンキーさまで加わってもう前人未到のカマシの世界。今年は来日公演も強烈でした。



第11位
S.Carey [Hundred Acres]
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マルチ・インストゥルメンタリストのソロ3作目。歌はさらに表現力豊かに、楽器の音色は繊細に仕上がった幽玄なフォーキー・チェンバー・ミュージック。



第12位
EVISBEATS [ムスヒ]
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和歌山の山奥での生活を反映してサウンドはよりオーガニックで、詩はより仏教的になり、成熟度を増したソロ4作目。ゲストの人選の的確さ・意外性もハマって一枚通してじっくり聴き込めます。また初期の頃の無国籍で奇妙なビートも聴いてみたくなる。





by Blacksmoker | 2018-12-31 22:28 | 2018年総括
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