その日は朝7時まで大阪でDJやって踊って、かなりヘバってましたが新幹線で爆睡しながら行ってきました!セネガルが生んだ国際的スター、ユッスー・ンドゥールの10年振り来日公演。
今回の来日公演は東京2公演のみというスケジュールでしたが、やっぱり観たいんだ!ユッスー・ンドゥールなんてそうそう観れるもんじゃないしね。しかも同時期に東京ではアフリカ音楽界の偉人モリ・カンテがブルーノート東京で来日公演中というとんでもないアフリカン・パーティ状態。ユッスーの次の日にはモリ・カンテを観るというスケジュールで東京まで行ってきました。 ユッスー・ンドゥールは1959年生まれの西アフリカのセネガル出身。以前にサリフ・ケイタの回でも触れましたが、このユッスーもアフリカの文化や伝統を歌によって伝承するグレオの家系に生まれている(ちなみにモリ・カンテもグレオの家系出身だ)。彼が世界的に認められるきっかけとなったのは80年代後半にピーター・ガブリエルと出会った事だ。彼に惚れ込んだピーター・ガブリエルのアルバム「SO」にも参加、そしてワールドツアーにも同行する事で世界にその存在を知らしめる。その後はグレオの血を受け継ぐかのように政治的メッセージを持ったアルバムを発表し続けている。 ここ数年のユッスーは非常に意欲的な作品をリリースし、そして政治的な行動も話題だ。2003年にはNonesuchレーベルに移籍し素晴らしい作品「Nothing’s In Vain」を発表。その後もイラク戦争に抗議し全米ツアーをキャンセルし話題になったし、2004年にリリースした「Egypt」ではアフリカの土着的ポリリズムを離れ、イスラム教のアラブ音楽に傾倒した異色作だが、その年のグラミー賞を受賞。昨年は良い意味でも悪い意味でも話題になった「Live 8」でDidoと共演したりと、その影響はより強大なものになっている。 さて会場は2000人程の小さなコンサート・ホール。しかも普段はクラシック音楽のコンサートを中心にやっているという格式の高いホールだそうだ。ステージには何の装飾も無い超シンプルなセット。何か違和感あるけど、こんな小さい所でこれからあのユッスー・ンドゥールを観れるという期待で気持ちが昂ぶる。お客さんは日本人以外にもアフリカ系の黒人が非常に多い。若い人から年寄りまで客層は様々。 そして遂にユッスー・ンドゥール登場。総勢9人からなる彼のバンド「スーパー・エトワール・ドゥ・ダカール」を率いての登場です。わ、若い!47歳というからもっとおじさんを想像していたが、意外と若々しくて健康的に見える。しかもよく動くんですね。全席指定の会場なのに、始まって2曲目からユッスーに煽られて多くの客がステージ前方に押し寄せ、写真も取り放題のもはや治外法権状態。なかなか良い光景です。ただ前に行くと会場の音響のせいで全然音がまとも聴こえないので途中で退散。 「Egypt」ではあまり披露されなかったユッスーの高音の伸びやかなコブシが健在なのが良かった。もう歳なんであまり声が出ないんだろうなという勝手な想像を見事に粉砕してくれました。グレオの血筋とはこれほどまでに凄いものなんですねぇ。やはりCDとライブとでは全く違った魅力が味わえる。演奏は西洋音楽も視野に入れた非常に耳障りの良い演奏でガッチリとユッスーの歌声をサポート。いかに「Egypt」が異色作だったかが良く分かりますね(なぜこの異色作でグラミーを取れたのか良く分かりませんよホント)。途中からはダンサーも登場してかなり盛り上げてくれました。ギターやベース音が反響してしまう所があったのが少し残念ではありましたが。 さてショウの方ですが、ほぼ彼のヒット曲満載の内容で新旧のファンともに満足させる内容だったと思います。特に個人的に大好きなアルバム「Set」(1990年)から「Set」や「Toxiques」などもやってくれたし、バックボーカルのジア・ディアンケと共に歌った大ヒット曲「7 Seconds」、最近のアルバム「Joko」からは「Birima」に「New Africa」、そして「Nothing’s In Vain」からも「Sagal Ko」や「Africa,Dream Again」など最近のファンも十分に満足させる選曲。特に「New Africa」のアカペラはこの日のハイライトともいうべき神々しさを放っていましたね(ちなみに「Egypt」からは1曲も演奏せず)。 とにかくユッスーの笑顔が素敵で、会場がポジティヴ・ヴァイブスで満ち溢れていました。かなりシリアスな内容の歌ばかりでしたが、音だけ聴いてると全然そんな気がしないんですよね。レゲエも同じで「癒し系」には程遠い歌が日本では「癒し系」として認知されているのは、まあしょうがないと言えばそれまでなんですが、是非メッセージにも耳を傾けて欲しい。ただ今日のコンサートでは「ただメッセージを発してるだけではないから、ただ踊ってくれるだけでも十分いいんだよ」というヴァイブも感じたのは事実です。それほど楽しいライブであったことは強調しておきます。 さてユッスー・ンドゥールをまだ聴いた事の無い人(あるいはホンダのCMで「オブラディ・オブラダ」をカヴァーしている人としか認識していない人、あるいは女だと勘違いしている人)には1990年の「Set」(左写真)、そして2000年の「Joko」(右写真)をお薦めしておきます。 世界にはまだまだ知られていない素晴らしい音楽があるのです。 さて、アフリカ勢の来日はまだまだ続きます。9月にはコンゴから噂の軍団Konono No.1が遂に来日です!要チェック!!
by Blacksmoker
| 2006-08-10 00:01
| ライブレポート
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