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JOHNNY CASH [American Ⅴ: A Hundred Highways]

2003年9月12日に71歳で亡くなったジョニー・キャッシュ

遺作となった02年「Amercan Ⅳ:The Man JOHNNY CASH [American Ⅴ: A Hundred Highways]_f0045842_22181663.jpgComes Around」から、04年には未発表音源が多数収録された5枚組BOXセット「Unearth」(買ったけどまだ消化しきれてないです…)や、映画「ウォーク・ザ・ライン」など彼に関する作品が多く発表されたが、この「American Ⅴ: A Hundred Highways」ジョニー・キャッシュが死の直前までレコーディングしていたという正真正銘の最後の作品です。

重い。非常に重たい作品だ。写真で見る衰えぶりは衝撃的過ぎて声にならない。しかし迫り来る死を目前にしたジョニー・キャッシュの様々な心情がヒシヒシとJOHNNY CASH [American Ⅴ: A Hundred Highways]_f0045842_22254650.jpg伝わる。かつては「Man In Black」と呼ばれた全盛期と比べれば声の衰えも隠せないが、この生々しさはハンパではない。まさしく最後の力を振り絞った作品だ。

トラディショナルやカヴァーが大半を占めるが、もはやディランの新作でも感じた事だが、この人達の音楽は新曲も伝統音楽も同系列に並んでいるので問題はなかろう。新曲が既に伝統音楽なのですね。あとブルース・スプリングスティーンなどの曲も取り上げています。

特筆すべきはジョニー・キャッシュが死の数日前に書き上げたと言うオリジナル曲「Like The 309」。そのリアルさには息を飲む。「もうじき死神ってやつに会うことになるだろう」という出だしの歌詞は強烈だ。そして「309(おそらく汽車の事)に乗ってここから出て行くのさ」というラインで締められている。自分の死への餞のような曲です。この曲を聴くだけでもこのアルバムを買う価値はあります
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当初ここまで重いアルバムだとあまり何回も聴かないんじゃないかと思っていましたが、実は何回聴いていても飽きないんです。それどころか聴く度に素晴らしさを発見出来るアルバムなのだ。アコースティックな味付けが非常に効果的で、ピアノやオーケストラも良い効果を出している。ハンク・ウィリアムスの名曲「On The Evening Train」でのギターの弦の絡みとピアノ、そしてヴァイオリンの名演は涙なしには聴けません。

アメリカ音楽界の偉人ジョニー・キャッシュの正真正銘の遺作は彼の今までの歴史を総括したようなまさしくカーテンコールのような作品です。これは消え去る前に強く輝いた一本の蝋燭の炎。
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ここまで生々しいリアルさを持った作品にはめったに出会う事はないでしょう。
by Blacksmoker | 2006-09-29 00:09 | COUNTRY / BLUEGRASS
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