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NIGHT JUNGLE [Jungle Cruise]

オーストラリアのネイティヴ民族アボリジニに伝わる民族楽器ディジリドゥ。そのディジリドゥ奏者の中で、日本で最も有名な人と言えばGOMAである。
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先日そのGOMAのライブを観たのですが、ディジリドゥを吹きながら、ラップトップを自ら操り独特な異空間を見事に創り上げていました。

NIGHT JUNGLE [Jungle Cruise]_f0045842_2211463.jpgそのGOMAが自身のソロ活動と並行して新しいバンド、ナイト・ジャングルを結成したのが約3年前。その後はライブを中心に活動してきた彼らですが、遂に初の音源「Jungle Cruise」をリリースしました。今までベールに覆われていたこのバンドの全貌が露わになりました。

そのナイト・ジャングルのメンバーは、

GOMA :ディジリドゥ
マスター・パタ :ベース(Dry & Heavy)
大石幸司 :ドラム(Little TempoJungle Roots)
THE K :ギター(Likkle Mai Band)
フル :コルネット(Vip Band)

という5人組のインストゥルメンタル・バンド。彼らは皆、日本のレゲエ・シーンの中で活躍している錚々たるツワモノ達です。
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しかし、このナイト・ジャングルですが面白い事にこれだけの凄腕レゲエ・ミュージシャンが揃っているにもかかわらず、音楽はレゲエじゃないのです。もちろんレゲエの要素もあるんですが、The Metersのような空間を活かした音に、ラテン音楽の要素も盛り込んだジャム・バンド系の音なのです。そして全編に渡ってGOMAのディジリドゥの低音が響き渡っている何とも形容しがたいユニークなサウンドだ。「夜のジャングル」という名前はかなりの言い当て妙ではある。その一方で光のイメージもあるサウンドなのが面白い。

当初ナイト・ジャングルはレゲエのトラックにGOMAのディジリドゥを乗せるという形を取っていたそうだが、それがどうも面白くなかったらしい。そして彼らが考えたのがGOMAのディジリドゥに楽器の演奏を合わせていく方法。この方法によってディジリドゥの音を存分に活かしたユニークなジャム系サウンドになったわけです。GOMAがソロ・アルバムで表現している土着的な民族音楽とはまた違ったサウンドです。コルネットの異国的な響きも妖しくて良いですね。
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アルバムの最後を飾る2曲の流れが特に秀逸。緩すぎるスライド・ギターに、泣きそうなくらいメロウなコルネット、そしてその後ろで控え目に響くディジリドゥのサウンドが浮遊感を醸し出す「Day Light」、そしてゆったりしたドラムのミリタント・ビートにディジリドゥの音とギターの絡みまるで様々な生き物が眠りについた月明かりの差す夜の密林に迷いこんだような「太陽も月」の2曲の流れが素晴らしい。雨の降っている夜に少しだけ窓を開けて部屋の電気を消して雨の音をBGMにこのアルバムを聴くと恐ろしいくらいのメディテーション効果がありますよ。

最後に、このアルバムの音なんですが実はモノラル録音なのです!果たしてこの音を聴いた何人がこの音がモノラルだと気付くだろうか?まるでステレオ録音のように広がりのある音のバランスに驚愕します。エンジニアを担当したのはZAK。まさにサウンドの魔術師である。
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このZAKによる驚異のミックスにも耳を傾けて欲しいアルバムです。
by Blacksmoker | 2006-11-01 00:02 | REGGAE
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