SUFJAN STEVENS [Michigan]

今最も注目されているシンガーソングライターの1人。

この人はジェシー・ハリスMウォードライアン・アダムスなど気鋭の若手ミュージシャンからと、スパークルホースマーク・リンカスイールズ、そしてダニエル・ジョンストンなどのアメリカの「裏音楽史」を彩るミュージシャンからの両方の流れを汲む希有なシンガーソングライターです。
f0045842_13062.jpg
その名はスフィアン・スティーヴンス

1975年生まれミシガン出身のスフィアン・スティーヴンスですが、全ての楽器を1人でこなすマルチ・インストゥルメンタリストであり、しかも小説家も志しているという才人でもあります。

今までに4枚ものアルバムをひっそりとリリースしていたスフィアンですが一般的に彼への注目が俄然集まるようになったのは彼の立ち上げたある「プロジェクト」からでした。
f0045842_1523474.jpg
それは「アメリカ50州シリーズ」!

なんとスフィアンがアメリカの50州それぞれについてのアルバムをリリースするという途轍もない壮大な企画。要するに全50枚のアルバムを作るというわけです。本気なのか冗談なのか、もはや企画の時点でぶっ飛んでる訳ですが、スフィアンはこのプロジェクトを2003年にスタートさせます。(ちなみに我が日本では、みうらじゅんが全国48都道府県のアルバム作りに挑戦していて残りはあと2県のみ!)

f0045842_1473042.jpg今回紹介するアルバムは、その記念すべき「アメリカ50州シリーズ」の第1弾。その名もズバリ「ミシガン」(原題はThe Greetings From Michigan:The Great Lakes State)。そうです、スフィアンの出身地であり自動車産業の街デトロイトを有するミシガン州が舞台となります。全15曲のタイトルの全てにミシガン州の地名が入っているというこだわりぶり。

サウンドは非常に繊細で美しい曲ばかり。アコースティック・ギターよりも目立つのがピアノバンジョーの音。この2つの音を中心にしたサウンドがスフィアンの特徴だ。それにヴィブラフォンやフレンチ・ホルンなども加えたカラフルなサウンドがスフィアンを抜きん出た存在にしている理由の一つでもある。
f0045842_1501125.jpg
多重録音による室内楽のような一面もあるが、隙なく作り込まれような完成度の高い音でもなく、適度なガールズ・コーラスも加えて中学校の吹奏楽部のような温かなアットホーム感もあります。スフィアンの声も囁くような声で、雪のような儚さがあり非常に親しみやすく温かです。聴く度にどんどんハマっていきますね。

そしてもう一つの注目がスフィアンによるf0045842_1545067.jpg詩です。小説家を目指すスフィアンだけあって全曲が1つ1つの短編物語になっている。全ての曲に付随する物語があって(ちなみに日本盤にはライナーに日本語対訳付きで掲載されていますのでこちらをオススメ)、それに沿った歌詞が歌われる。この歌詞がメチャクチャ良い!主人公はそれぞれにいて、思春期から大人へ変わる時期の少年や、奥さんに逃げられたトレーラーに住む労働者、淡い恋をする青年など様々な人達が登場する。その彼らの繊細な感情が見事なほどに綴られた素晴らしい歌詞は本当に感動的です。ミシガンを舞台にした短編小説を読んでいるようです。

アルバムの曲構成もアナログ・レコードを意識して作られたものになっていて、意識して聴いてみると1~8曲目までがA面、9~15曲目からがB面という構成になっています。こういうアナログ感覚も非常に親しみが持てますね。これは是非ともアナログ盤でも手に入れたいレコードですね。

この素晴らしいレコードはメディアや評論家達にも絶賛されたそうですが、そんな事も実に納得できる素晴らしい作品。聴くものによっては心の名盤となるであろう美しいアルバムですね。
f0045842_1572957.jpg
この作品で注目を浴びた後の彼の製作意欲はとてつもなく、「アメリカ50州シリーズ」の第2弾をリリースした他、そのアルバムのアウトテイク集(これが素晴らしい出来)や、5枚組クリスマス・アルバムをリリースしたりと、その製作ペースはあの天才ライアン・アダムスに匹敵するくらい多作です。しかもこれらの作品はどれも素晴らしいので、また紹介していきたいと思っています。

f0045842_24731.jpgそして今年のアカデミー賞作品賞にノミネートされている映画「リトル・ミス・サンシャイン」の中でもスフィアン・スティーヴンスの曲がしっかりと使われています(現在日本で公開中で公式サイトの予告編でも流れています。ココをチェック!前半の全然関係ないフレーミング・リップスの曲の後に続いて流れるのがスフィアンの曲です)。そしてもうすぐリリースされるジョニ・ミッチェルのカヴァー・アルバムにも超大御所達に混じって参加しているようです。これから大きな存在になっていくであろうスフィアン・スティーヴンスの名前は覚えておいても損はないだろう。

是非一度耳を傾けて欲しいアーティストであります。

ちなみに、この「リトル・ミス・サンシャイン」のサウンドトラックですが、これが非常に素晴らしいです!これは次回ご紹介しましょう。
[PR]
by Blacksmoker | 2007-02-05 02:16 | ROCK
<< 映画「Little Miss ... 特別対談:「Favorites... >>