RUFUS WAINWRIGHT [Release The Stars]


f0045842_1833991.jpg前々作「Want One」(2003)、そして前作「Want Two」(2004)という2部作で、圧倒的なオリジナリティを確立し、シンガーソングライターとしては孤高の存在となりつつあるルーファス・ウェインライト。その素晴らしさは他のアーティストと一線を画します。この新作「Release The Stars」は彼の存在をもっと大きなものにしてくれる作品であり(全英チャート初登場2位!)、まだルーファス・ウェインライトを良く知らないという人(特に映画「I Am Sam」でのAcross The Universeのカヴァーでしか知らないという人)には是非このアルバムから聴く事をお勧めしたい一大傑作です。

1973年ニューヨーク生まれのルーファス・ウェインライト。彼は自分がゲイである事を隠さない。もはやその事を逆手にとっていかにもゲイ風なPVを作ったり、ゲイ雑誌の表紙を飾ったりと完全にオープンな姿勢を取っています。
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さらには映画「ブロークバック・マウンテン」(これもゲイの映画です)のサントラではテディ・トンプソンのデュエット相手として登場していたり、さらには前回のワールド・カップの時にはグレース・ジョーンズとのデュエット曲を録音していたり(爆笑!)と、要するにこの人はとてもシニカルでひねくれた笑いが好きな人のように思えます。

f0045842_1873818.jpgたしかに今までのアルバムも一筋ならではいかないもの(でも傑作揃い!)が多かったですが、このアルバムは非常に明るくてかなりポップな曲ばかりで、その完成度たるや全曲シングル・カットでも通用するくらいの素晴らしい曲ばかり。前々作「Want One」、そして前作「Want Two」の息を呑む程の素晴らしさに言葉も出ないくらい感服しましたんですが、今回のアルバム「Release The Stars」ではその前2作をあっさりと凌駕してしまいます。まったくこの無尽蔵な才能には言葉も出ないですね。

さて今回のアルバムはベルリンで録音されており、そのサウンド全体に荘厳なオーケストラが大々的にフィーチャーされています。ルーファスの歌声は少しナイーヴでもあり少しオペラ的でもあり、この荘厳なオーケストラ・サウンドに見事に溶け込んでいて本当に絶品の一言に尽きます。もはや天性の声です。

そして何とエグゼクティヴ・プロデューサーにはPET SHOP BOYSニール・テナント(この人もゲイです)!どこまで本気なのか遊びなのかは分かりませんが、ニール・テナント色は皆無。サンプリングやバッキング・ボーカルを担当しているのみで、彼の存在が良く分かりません(唯一Between My Legsの80年代風アレンジがニール色なのか?)。そして天才なのでなんでもこなすので、アルバム全体は当然のごとくルーファス本人がプロデュース。もはやこの才能は他人にはコントロール出来ません。
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1曲目の荘厳すぎるオーケストラをバックに伸びやかな歌声を聴かすDo I Disappoint Youから、最終曲の映画の終幕を彷彿させるオーケストラをバックに歌われるミュージカル調のRelease The Starsまで、もう息つく暇がない程美しく荘厳なサウンドにウットリします。個人的には7曲目の美しいワルツNot Ready To Loveでの終盤のメランコリックなストリングスが8曲目Slideshowの冒頭に繋がっており、そこに優しいアコースティック・ギターの音が入ってくるという絶品の流れはいつ聴いても鳥肌が立ちますね。

ゲストには妹のマーサ・ウェインライトテディ・トンプソン、そして先日素晴らしいアルバムをリリースしたリチャード・トンプソンもギターで参加していたりしますが、完全にルーファス・ウェインライト一色の美しくも儚いデカダンな世界で塗り固められています。
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しかし、この人の音楽には本当に惚れ惚れさせられます。ニューヨーク出身でありながら、どこかヨーロッパを感じさせる音楽なのも面白いですね。アメリカよりイギリスの方が人気が高いのも頷ける気がします。個人的には最近の男性シンガーソングライターの中ではこのルーファス・ウェインライトスフィアン・スティーヴンスの2人がずば抜けていると思います。

そして、この「Release The Stars」ルーファス・ウェインライトのキャリアの最高傑作と言ってもいい一大傑作。是非とも聴いてみてください!
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by Blacksmoker | 2007-07-05 00:03 | ROCK
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