DONNIE [The Daily News]


まずはこのジャケットを見て欲しい。

f0045842_235538.jpgこのいかにも金を持ってなさそうな青年。名前をドニーと言います。でも彼を侮ってはいけない。この風貌でありながら、実は彼はブラック・ミュージックの魂、つまり「レベル」の精神をしっかりと受け継いでいる真のソウルマンの一人。そして若手ソウル・ミュージシャンの中でもかなりの正統派シンガーだ。この彼の新作「The Daily News」は、まさしく70年代ソウルを彷彿させるソウル・ミュージックの傑作です。

さて実はBlacksmokerは、ドニーについては、このアルバムで初めて知ったのですが、「The Daily News」は彼の5年振りになる2ndアルバムになります。1976年ケンタッキー州レキシントンに生まれたこのドニー。多くのソウル/R&Bシンガー達と同じく幼少より教会でゴスペルを歌っていたという。20代後半よりアトランタに移り地元のミュージシャン達と共に「クルーヴメント」という集団を結成し活動していたそうです(ちなみに、このクルーヴメントにはあのインディア・アリーも所属していたそうです)。
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そして2002年1stアルバム「The Colored Section」をジャイアント・ステップからリリース。その後あのモータウンがこのアルバムを気に入ってモータウンから再発もされています。

さて、この前作は未聴なんですが、この新作「The Daily News」はかなりの社会的メッセージを備えていてf0045842_23201555.jpg驚きます。ソウル/R&Bのアルバムはほとんどが「愛」についての内容ですが、これは全編において「抑圧された市民の怒り」、「911」、「自殺問題」、「人種差別」「幼児虐待」など社会問題を告発する内容ばかり(でも1stシングルのIf I Were Youはラヴ・ソングですが…)。ここにはパブリック・エネミーの精神、もっと遡るとジェイムス・ブラウンスライ&ザ・ファミリー・ストーン、そしてマーヴィン・ゲイの精神がしっかり継承されているのが分かります。

アルバムのインナースリーヴは、アルバム・タイトル「The Daily News」にちなんで、全て新聞を模したものになっています。つまりドニーの歌うこれらの問題は、我々の日々の生活の中に存在する問題ということだ。彼の視線は常にストリートにあります。アルバムに収録されているOver-The-Counter-Cultureに唯一ラッパーとして参加しているのが、リトル・ブラザー9thワンダーが脱退して2人組になっちゃいましたけど・・・)のフォンテ(下写真右)。彼のストリート目線でのリリックもこのアルバムには実に自然に溶け込んでいます。
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歌詞に目が行きがちなアルバムですが、音楽性も非常に素晴らしい。生演奏とプログラミングの中間をいく音作りによる極上のミディアム・ファンク。元ルーファスボビー・ワトソンによるブリブリのベースが腰に来るファンキーさで迫ります。サウンド的にはかなりアース・ウィンド&ファイアの影響がかなり大きいように思います(と、思ったらギターに元アース・ウィンド&ファイアアル・マッケイが参加していました)。

そしてドニー素晴らしい歌唱力
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スティーヴィー・ワンダーの影響がかなり窺い知れる見事な歌声。ステーヴィーだけでなく、ダニー・ハサウェイマーヴィン・ゲイなどの数々のソウル・レジェンド達の姿が目に浮かびます。正統的ソウル・シンガーの後継者と言っていいでしょう。そしてコーラスの使い方などは完全にゴスペル・マナーに沿っています。この32歳という若さならではの躍動感溢れる歌声が最高です。

曲も、フックのある実に良く練られた曲ばかりで全く飽きさせません。非常に明るい曲調が多いのですが、歌詞はかなりリアルな内容の社会派なメッセージというギャップはレゲエ・ミュージックのようですね。
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このまだまだ無名に近い存在のドニーのアルバム「The Daily News」、個人的には2000年代におけるマーヴィン・ゲイの名盤「What’s Goin’ On」級の位置付けにある傑作だと言いたい!是非チェックしてみましょう。
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by Blacksmoker | 2007-08-13 00:19 | R&B / SOUL
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