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湯川潮音 [湯川潮音]

さて前回・前々回と続いている女性フォーク・シンガー特集。今回は日本です。

湯川潮音 [湯川潮音]_f0045842_02551.jpg2005年メジャー・デビューを飾ったシンガー・ソングライター、湯川潮音の記念すべき1stアルバム。「J-POPじゃないの?」と思われそうですが、このアルバムは完全なフォーク・アルバムです。




さて、前回・前々回で特集したジュディ・シルヴァシュティ・バニヤン。この2人を崇拝する1人の男が日本にいました。

その男の名は鈴木惣一郎

World Standardで活躍する彼は湯川潮音という1人のシンガー・ソングライターと出会います。彼はこの湯川潮音のアルバムをおそらく完璧なフォーク・アルバムとして完成させようとしたと思います。そこで集められたレコーディング参加メンバーは(鈴木の意図なのかレコード会社の意図なのかは分からないけど)ミックスにはZAK、曲の提供者として永積タカシ岸田繁、元スマパンのジェイムズ・イハという豪華布陣。

確固たる世界を築いている人達だから、ほおって置けばその人達の方向へ持っていかれるであろう所を、鈴木の「そうはいかせるか!湯川潮音は俺色に染める!」という気迫で彼色のアルバムに無理やり持っていった、そんなカンジがヒシヒシと伝わってくるアルバムです。レコーディング中は、鈴木は湯川潮音にヴァシュティ・バニヤンの1stアルバム「Just Another Diamond Day」 を聴き込むように指示していたそうです。

そして完成したアルバムは見事に鈴木惣一郎のカラーの出たアルバムとなっています。ヴァシュティ・バニヤン「Just Another Diamond Day」 を手本にした音作りがなされていて、様々な音が微妙なさじ加減でミックスされていてサイケデリック色がかなり出ています。そのサイケデリックな音の中で舌足らずな湯川潮音の声が自由に広がっていきます。

決してキャッチーな曲がある訳でもないので(永積タカシ作曲の1stシングル「緑のアーチ」 が妙に浮いている)、売れ線でもないしBGMにも不向きですが、そんなBGMとして消費されていくような音楽ではないのでそれはそれで良いのかも知れません。しっかり聴き込めば聴き込むほどその魅力を発見出来る、そんなアルバム。傑作。

写真も70年代のフォーク・シンガーを意識したカンジがいいですね。
湯川潮音 [湯川潮音]_f0045842_035260.jpg

by Blacksmoker | 2006-02-03 00:02 | FOLK
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