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JESU @ 心斎橋クラブクアトロ 11/28(水) 2007

遂にこのバンドも初来日を果たしました。

ジャスティン・K・ブロードリック率いるJESU
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結成したのが2001年なのでその歴史はまだ短いのですが、JESUの前身バンドであるGodfleshでの14年の活動でも遂に日本の地を踏むことが無かったので、ファンにとってはまさしく待望の来日になりました。Godfleshでは無機質なマシン・ビートとヘヴィなギター・リフを融合させた当時ではなかなか数少ないバンドで、荒廃したインダストリアル・サウンド(懐かしい呼び方!)がマニアには絶大なる人気を誇っていましたが、解散後にジャスティンが進んだ道はMy Bloody Valentineばりの轟音サイケデリック路線。叫ぶことをやめ空間的な轟音ギターのサイケデリック・ノイズの海の中で深いエコーのかかったノーマル・ヴォイスで浮遊感のあるメロディを歌うというJESUのサウンドは、ジャスティンがもはや新たな領域にいることを見せてくれました。

そのJESUのライヴ。結論から言うと3人組ながら考えうる最大の音響によるスケールの大きい美しいライヴでした。今の彼らの音楽性に匹敵するのはMy Bloody Valentine(最近遂に復活を果たしたけど)や、Sigur Rosといったバンド達だろう。
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とにかくシンプルで何もないステージに、ギター、ベース、そしてドラムのみ(あとSEで使うMac G4が置いてあるくらい)。この3人という最小の人数から出される音がもうハンパない轟音と音圧。しかもSUNN O)))のような生命の危険を感じるような轟音ではなく、聴いていると幸せになってくるような気持ちの良い天上のホワイト・ノイズ。この轟音に身を委ねているだけで精神が浮遊するような最高の気分になります。

ヴォーカルとギターを兼任するリーダーのジャスティン・K・ブロードリックのあまりにも若々しい青年のような容姿にはかなり驚きましたが(Napalm DeathGogfleshなど合わせると20年以上のキャリアだが、デビューしたのが15~16歳くらいなのでまだ40歳くらいでしょうか?)、JESUのギター・サウンドは数々のバンドで培われてきたサウンドの集大成ともいえる超強力な音でした。ベースもエグいくらいの重低爆音で、このサウンドの音圧を構成する一旦を担っていましたね。
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そしてレコードを聴くだけでは気が付かなかった事なんですが、ライヴでJESUのサウンドの轟音サウンドの要になっているのがドラムでした。超シンプルなセットから繰り出される、もの凄い音でズドーンと響くスネア、そしてハレーションを増長させるシンバルの残響音が強烈です。しかもジャストなタイミングで叩き出される正確無比なリズムが凄かったです。

この強烈なドラムを叩くのがテッド・パーソンズ。ノイズ/インダストリアル/ジャンク・バンドの始祖とも言われる80年代伝説のバンド、SWANS(下写真:右から2番目がテッド・パーソンズ)のドラマーだった人物です。
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あの終末感漂う荒廃した絶望的なSWANSのサウンドにおいて、無慈悲とも言えるジャンク・ビートの根幹を支えていたのがこのテッド・パーソンズです。スキンヘッドで、腕にはビッシリとタトゥーの入った超ワイルドな風貌ながらドラミングは超タイト。この男がいなければJESUのライヴのサウンドは全く違ったものになっていたハズだ。「シンバルを2発入れて、ズドンとスネアを1発」というリズムの繰り返しがほとんどだが、強力でジャストなリズムのドラミングは素晴らしかったです(ちなみにテッド・パーソンズは、あの16人しかいなかったProngの初来日公演 in 大阪でもドラム叩いてました!)。
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選曲のほうはJESUにとって一気にポップさを増したアルバム「Conquerer」からの曲がほとんど(新作EP「Lifeline」からは1曲もなしでした)。多幸感溢れる轟音ホワイト・ノイズの海にのみこまれてまるで天国にいるような心地良さでしたね。
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途中に「Silver」などの名曲を挟みつつ、ラストは1st「Jesu」からFriends Are Evil。SEの不穏なインダストリアルなイントロから、超ヘヴィなギター・リフが繰り出されるGodfleshを彷彿させるナンバー。ドラムのヘヴィなサウンドも完璧で、殺気漲る凶悪なサウンドが一気に現実へ引き戻してくれましたね。その後、ドラム、ベースが去った後、たった一人でステージに残りハウリング・ノイズを出し続けるジャスティン・K・ブロードリックの姿が異常に神々しかったのが印象的でした。

今回初めて経験したJESU。予想以上にバンドとしての一体感があり、かなり肉体感溢れるアグレッシヴなライヴ。そして何よりJESUファン、そしてGodfleshファンをも力で捩じ伏せて納得させたかなり強力なライヴでした。
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次こそはジャスティンのアンビエント・ユニットFinalでの来日も期待します!
by Blacksmoker | 2007-12-04 00:34 | ライブレポート
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