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Bjork @ 大阪城ホール 2/25(月) 2008 


ビョークのライヴは毎回知覚の扉を新たに広げるアイディアが満載だ。
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毎回アルバム発表後に行うツアーには同じものが一つもなく、お金とアイディアを注ぎ込んだそのスペクタクルなライヴは未体験の人は一見の価値があります。

さて今回は昨年にリリースされたアルバム「Volta」に伴うツアー。ティンバランドなどの先鋭的ビートや、Konono No.1トゥマニ・ジャパディなどのアフリカ大陸からの刺激的なサウンドなどを導入しまさしく時代の最先端を行きながらも、Lightning Boltの超絶ドラマーのブライアン・チッペンデイル、そしてこちらも超絶なNYのドラマー、クリス・コンサーノといったアンダーグラウンドのクセモノ達も抜かりなく押さえたこの「Volta」において相変わらずの先見性を見せ付けています。(ちなみに先鋭的なサウンドをいち早く導入し世界に提示するのがビョークで、そのサウンドがある程度浸透して全く先鋭的でなくなった頃に世界に提示してくるのがマドンナです。)
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そんな「Volta」ツアーをサポートするのは、もはやビョークのライブには欠かせない存在のマーク・ベルLFO)。個人的には初めてビョークのライブを観たのが98年のフジ・ロックで、そのステージにもマーク・ベルはいましたね。そのマーク・ベルが今回もエレクトロニクス全般の機器を操っていました。そしてもう1人のエレクトロニクスを担当するメンバーとドラマー、そしてキーボーディストが参加。ドラマーはアルバムにも参加していたクリス・コンサーノジム・オルーク恐山にも参加していた鬼才)。そして地元アイスランドからはド派手な衣装に身を包んだ10人の女性ブラス・セクション隊を従えた布陣です。ステージ後方には旗が掲げられステージ全体が一種の祝祭的ムードです。
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ブラス隊のマーチングと共に登場したビョーク。こちらもド派手な衣装(おそらく有名デザイナーが手掛けたと思われる)に身を包み、額にはカラフルなペイントを施しています。

1曲目のEarth Intrudersから民族音楽と最新エレクトロニクスが渾然一体となったサウンド。今までのどのツアーよりもカオス度が高い。「Volta」からの曲が多いと思いきや、意外にも過去の代表曲満載のセット。
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しかしビョークのライブというのは過去の曲でもオリジナル音源とは全く違った姿で披露されるので面白い。2曲目となるHunterも同様で、オリジナル音源とは違った音になっています。

聴覚的にも十分に面白いのですが、おそらくビョークが最もこだわっているのが視覚効果でしょう。最新エレクトロニクス器材を駆使しまくっています。特に目をBjork @ 大阪城ホール 2/25(月) 2008 _f0045842_22284724.jpg引いたのはReactable(右写真)。次世代シンセサイザーのインターフェイスとして登場してド肝を抜いたこのReactable。発光する大きな円テーブルの上にハコ状の物を置くだけでパルス音が鳴り、そのハコを回転させたり移動させたりするだけでパルスの音が変わる特殊なシンセサイザー。音そのものよりやはり見た目がカッコイイのがこのReactableの特徴です。スクリーンに大写しされるこのReactableの映像はかなり視覚効果抜群です。

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そしてもう一つ目を引いた最新テクノロジーが、今超Bjork @ 大阪城ホール 2/25(月) 2008 _f0045842_22293539.jpg話題のTenori-On(左写真)。日本人クリエイター岩井俊雄とYAMAHAが開発した(なのに日本ではまだ発売されていない・・・)次世代インターフェイス。30センチ角パネル盤にLEDライトが埋め込まれていて、その盤に触れると音が鳴り、音色が変わっていく電子楽器でこれも視覚効果は絶大。他にもKaoss PadやLemurを使っていたりと、時代の先端を行くビョークならではのライヴ風景です(してやったり顔が目に浮かびます)。

ちなみにこれらの電子楽器は、「楽譜など読めなくても直感的に演奏する事ができる」というのがコンセプトにある楽器であり、それを駆使しているのがビョークというのが、とても象徴的ですね。後世に、楽器演奏の歴史を振り返った時にこのビョークのライヴは一つの演奏概念の転換期となったものとして記憶されるものになるんじゃないでしょうかね。

そしてライティングもかなり凄い。会場の後方まで緑のレーザー光線が四方八方に飛ぶその壮大なライティングもかなり視覚効果抜群。
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最近はよくこのライティングは目にする機会が多くなりましたが、日本において初めてこのレーザーのライティング・システムを導入したのは2005年のフジロックでヘッドライナーを務めた時のFoo Fightersだそうです。あの霧のかかった遥か遠くの山々まで照らし出した凄いライティングを憶えている人も多いでしょう(下がそのフジロックの時の写真)。
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今回はそのライティングがホールの天井を照らし出し大きな会場が小さなホールのような感覚になりましたね。

さて本編に戻ると、後半にかけての名曲のオンパレードに会場中が熱狂していたと言っても良いでしょう。全く姿を変えたArmy Of MeI Miss You、そしてアルバム「Medulla」の中で最もキャッチーだったWho Is It、そしてイントロだけで鳥肌の立つHyperballad(途中でLFOFreakが挿入されてました!)、そして不穏極まりない機械的なビートとライティングがまさしくカオスなPlutoなど強力過ぎるラインナップ。会場総立ちのスペクタクル・ショーでしたね。
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アンコールはOceaniaDeclare IndependenceDeclare Independenceではビョークがパンク・バンドのボーカルのように「Raise Your Flag!!!」と連呼してアジテーションしまくり、ストロボ・ライトのハレーションや紙吹雪が乱れ飛ぶそれはそれはカオスな状態での大団円でした。

ビョークの過去のどのツアーと比べても、最もド派手でクリエイティヴさが前面に出たライヴでしたね。使用する電子楽器、ライティングなどかなり刺激的で、知覚・聴覚共に新たな扉を開くには十分過ぎる程のショーでした。
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また次のツアーでは常人の想像の上を行く刺激的なステージで魅了してくれることでしょう。
 
by Blacksmoker | 2008-03-07 00:53 | 金の亡者
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