人気ブログランキング | 話題のタグを見る

LALAH HATHAWAY @ Billboard Live Osaka 5/9(金) 2008


もはや「ダニー・ハサウェイの娘」という形容詞はいらない。
LALAH HATHAWAY @ Billboard Live Osaka 5/9(金) 2008 _f0045842_2329767.jpg
レイラ・ハサウェイの歌声には独特のソウルがある。もちろん偉大なるレジェンドである父親から受け継いだソウルもあるが、彼女の才能はそれだけに留まらない。彼女は別に特徴的なダミ声でもなければ、極端に高音を出すわけでもない。派手さはないが、ハスキーで上品さの漂うその歌声にはレイラ・ハサウェイのオリジナリティがある。

しかしレコードでは、そのレイラのヴォーカルが周りの音に埋もれているようで、スッと入ってくる穏やかさなど良い部分があまり反映されていないように思えたんですが、プロダクションにも関わる彼女のことだから、おそらくそれは意図的なのだろう。
LALAH HATHAWAY @ Billboard Live Osaka 5/9(金) 2008 _f0045842_23312341.jpg
今回のライヴで感じたことは、彼女の声はあまり前に出すぎない。主張することなく静かに穏やかに周囲の音と一体化する。これが新たに発見した彼女の声の魅力だ。声量がないので出来ないのではなく、あえてそういう風にしているというのは、今回のライヴを観てより鮮明に理解できました。何たって彼女は声を張り上げてちゃんと歌う事も出来るのだ。そしてその低くハスキーな声は周りの音と調和してしまうほどナチュラル(昨年リリースされたEarth, Wind & Fireのトリビュート・アルバム「Interpretations: Celebrating the Music of Earth, Wind and Fire」にレイラの歌ったLove's Holidayが収録されていましたが、初めて聴いたときは男の人が歌ってるのかと思ったほどです)。

復活した名門ソウル・レーベル「STAX」に移籍して4年振りとなるLALAH HATHAWAY @ Billboard Live Osaka 5/9(金) 2008 _f0045842_23332989.jpg新作「Self Portrait」(右写真)が、今回の来日直前のタイミングでリリースされましたが、このアルバムも作曲者としてラサーン・パターソンや、レディシをブレイクに導いたレックス・ライドアウトレイラの前作「Outrun The Sky」にも参加してました)、そしてFamily Standのシンガーのサンドラ・セイント・ビクターなどを迎えた鉄壁な布陣で、さぞ「攻めの姿勢」でくる内容のアルバムかと思いきや、めちゃくちゃメロウで落ち着いたアルバムで意外だったんですが、今回のライヴを観た今となってはこの作風は理解出来る。

今のレイラは既存の「R&Bのゲーム」の中にはいない。斬新なサウンドでアヴァンギャルドになる必要もないし、有名ラッパーを迎える必要もないし、ましてやT-Painを迎える必要だってない。ただ気の向くままに気持ち良く歌っているのが、今のレイラ・ハサウェイの実態だろう。
LALAH HATHAWAY @ Billboard Live Osaka 5/9(金) 2008 _f0045842_2333547.jpg
バンド・メンバーだって着飾ることなく、全員普段着のまま(リハーサルと思ってしまうほど)。レイラ自分が前に出るタイプではなく、各メンバーにもじっくりソロ・パートを担当させ、自身が音に一体化する事を楽しんでいるようです。ドラマーのエリック・シーツやキーボーディストのマイケル・アーバーグなど凄腕揃いだが、皆リラックスした雰囲気だ。

選曲は新作「Self Portrait」より1stシングルLet Goでスタート。この後もこのアルバムからの曲を披露。前作「Outrun The Sky」からの曲もチョイスされてましたが、やはりハイライトはルーサー・ヴァンドロスのナンバーForever, For Always, For Love
LALAH HATHAWAY @ Billboard Live Osaka 5/9(金) 2008 _f0045842_23343031.jpg
インパクトのある決め曲がないと言われるレイラ。やはり曲が良いと素晴らしくその声も映えますね。ナチュラルに染み込んでくる声で歌われる名曲。いつまでも続いていて欲しいと思わせるほどの心地良さでしたね。

見た目や風貌はレディシによく似ているが、歌の聴かせ方は全く別のベクトルを向いています。このレイラ・ハサウェイには新たな歌の楽しみ方を発見させられましたね。

父親とは全く異なるタイプのシンガーですが、彼女も素晴らしいソウル・シンガーだと断言しよう。
by Blacksmoker | 2008-05-19 00:11 | ライブレポート
<< NINE INCH NAILS... EXTREME THE DOJ... >>