人気ブログランキング | 話題のタグを見る

THE JAZZINVADERS [Blow!]


THE JAZZINVADERS [Blow!] _f0045842_13321846.jpgこの「Blow!」というタイトル。日本語で言うと「吹くぞ!」的なニュアンスだろうが、個人的には「吹きまくり!」と訳したほうがピッタリ来ますね。以前に「現在のジャズ・シーンを牽引しているのはイタリアだ」と言いましたが、オランダも負けてない。そんなオランダのザ・ジャズインヴェイダーズの2ndアルバムは最高にクールで踊れる極上のハードバップ・ラテン・ジャズに仕上がっている。

オランダの新興Jazzレーベル「Social Beats」を主宰するフィル・マーティン率いるこのザ・ジャズインヴェイダーズ
THE JAZZINVADERS [Blow!] _f0045842_13345079.jpg
2006年に「Up & Out」でデビューした時はジェラルド・フリジーナハイ・ファイヴ・クインテットなどのクラブ・ジャズの系譜のバンドの一つとして捉えていたが、2年振りとなるこの新作「Blow!」において更なるスケールアップを遂げ完全にオリジナリティ持ったジャズ・バンドとなったと言っていいだろう。

「Blow!」というタイトルに偽りなしのハードバップ・スタイルでアルバム全編トバしまくるのですが、それだけに終わらないのがこの新作の成果だ。まずは前作にも参加していた女性シンガーのリンダ・ブローエムハード(下写真中央)が正式メンバーとして迎えられているのが大きい。
THE JAZZINVADERS [Blow!] _f0045842_1336917.jpg
Idea 6に正式加入した女性シンガーのフランチェスカ・ソルティーノの成功例もあるように、女性シンガーを迎えることにより各曲がより際立ち、曲としてのインパクトも大きくなる(更にライヴではその役目は重要になる)。そのリンダ・ブローエムハードのキュートな歌声が楽曲に新たな躍動感をもたらしている。リンダ以外にもゲスト・ヴォーカルを迎え各曲を彩っていますね。

そして更に驚かされるのが今回のアルバムはとにかく楽曲の質が高い!ヴォーカルの入っていない曲でもかなりの躍動感を持ったハードバップなラテン・ジャズ・ナンバーが最高にカッコイイ。その他にも耳を惹くメロディを持った際立つ楽曲が満載だ。曲を手掛けるのは、このバンドのリーダーでもあるフィル・マーティン(下写真)。彼のセンスが光っています。
THE JAZZINVADERS [Blow!] _f0045842_13372420.jpg
彼の主宰するレーベル「Social Beats」が送り出す作品は素晴らしいものばかりで、これから要注目のレーベルです。

1曲目のThe Sun In Motionから驚異的なかっこ良さ!ラテン・パーカッションの連打からスタートしピアノのメインフレーズが被さり、更にそのフレーズをトランペット&サックスが被せてくるオープニング。これだけでも数あるクラブ・ジャズ・バンドの中でも最高峰とも言えるかっこ良さ。ラテンのリズムと流麗なピアノ、そして感情を昂ぶらせるハードバップの響き。この曲だけでも充分に購入に値するアルバムだ。
THE JAZZINVADERS [Blow!] _f0045842_13375176.jpg
この後も緩急使い分けた楽曲でアルバム全体を全く飽きさせる事がない。ハードバップで押しまくる曲もあればモーダル・ジャズのようなスピリチュアルな雰囲気を持った曲もある。ラストのWhat The Bleepなんかはソウル/R&B的なヴォーカルをフィーチャーしたラテン・ジャズで新境地を見せます。ヴォーカル曲が非常にキャッチーで親しみやすいのは個人的には大賛成ですね。
THE JAZZINVADERS [Blow!] _f0045842_1338366.jpg
最近は「クラブ・ジャズ」というものの是非が議論されているみたいですが、そんなのは聴いた人がそれぞれで判断すれば良いと思うし、この素晴らしい新作「Blow!」の前には不毛な議論と言えるだろう。

是非ともBlowされまくって下さい。
 
by Blacksmoker | 2008-08-13 13:02 | JAZZ
<< ARLINDO CRUZ [S... SIERRA HULL & H... >>