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THE FIVE CORNERS QUINTET [Chasin’ The Jazz Gone By]

まだまだ熱い北欧ジャズ・シーン。今回はその中核を担うフィンランドの新鋭ジャズ・バンド、ザ・ファイブ・コーナーズ・クインテットを紹介します。

THE FIVE CORNERS QUINTET [Chasin’ The Jazz Gone By]_f0045842_239047.jpgこのバンドは結成動機がとても面白いバンドです。2002年にヘルシンキで結成されましたがそのコンセプトはずばり「50年代後半~60年代前半のジャズを現代に再現する」 です。上記の時代というと、マイルスでいうところの「Kind Of Blue」ビル・エヴァンスでいうと「Waltz For Debby」コルトレーンでいうと「Blue Train」エリック・ドルフィーでいうと「Out To Lunch」 などのジャズのクラシックな名盤が次々に生まれていた時代です。タイトルだってズバリ「過ぎ去りし日のジャズを追いかけて」ですからそのこだわりようは相当なものです。ちなみにバンド名の「Five Corners」というのはヘルシンキに実在する五差路の事でそこは良質のアナログ・レコード店が点在するスポットだそうだ。

そして、この時代の空気を再現するというコンセプトでリリースした2枚の10インチと1枚の12インチのシングルが大当たり。全世界のクラブ・ジャズ・シーンでも大ヒットし、ジャイルズ・ピーターソン(ジャズといえばこのオヤジというくらいのレコード番長)が絶賛したり、クラブ・ジャズ系のDJの間でも話題だったようですね(ハウス系のクラブにあんま行かないのでよく知らないけど…)。もちろん須永辰緒松浦俊夫ら日本のレコード番長達も絶賛。
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「黄金時代のジャズを現代に再現する」というと一見後ろ向きな音か思われるが、全くそんなことはなく、最高にクールなジャズを聴かせてくれます。メンバーが全員28~30歳という若さもこの演奏が古くなっていない要因でしょう。全員がガチガチのジャズメンではなくクラブDJもこなすフレキシビリティさが良いケミストリーを生んでいる気がします。そしてニューヨーク在住の70歳を超えるジャズ・シンガーのマーク・マーフィや、パリの黒人女性シンガーのオコウなど参加したボーカル入りナンバーもあって非常に聴きやすい。お洒落でクールで躍動的なジャズが堪能出来ます。須永辰緒の「夜ジャズ」シリーズにも取り上げられそうなサウンドです。今からジャズを聴く人はこのアルバムから入ってもらってもいいんじゃないかな。

さて「黄金時代のジャズを現代に再現する」というコンセプトを成功させたこのバンド、次回作ではどんなアプローチで来るんでしょうか?とても楽しみです。

THE FIVE CORNERS QUINTET [Chasin’ The Jazz Gone By]_f0045842_23162649.jpgちなみに日本盤のジャケット(右写真)なんですが青色です。北欧のイメージとしては個人的には青の方が好みですね。



そして水曜日に彼らの初来日公演に行って来ましたので次回レポートします!
by Blacksmoker | 2006-02-24 00:13 | JAZZ
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