2009年の5公演。


さあ、2009年総括ラストはライヴ編です。今回は5つ選びました。


<2009年のライヴ・ベスト5>


■第1位
Beyonce @ Summer Sonic '09 (2009年8月7日)
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2009年はこの人以外には考えられません。ビヨンセ史上初の野外フェスティヴァル・ライヴ。
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エンターテインメントの真髄というものを見せ付けられました。完璧に叩きのめされましたね。


■第2位
MY MORNING JACKET @心斎橋クラブクアトロ (2009年2月6日)
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日本と海外との人気の差のおかげで、こんな小さな場所でこのバンドを観る事が出来ました。こんな小さな場所にもかかわらず、全く手加減なしの2時間半。とてつもない迫力でした。


■第3位
DAVID BYRNE @ なんばHatch (2009年1月23日)
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バーン先生の知的ユーモア満載。先鋭と円熟が同居する貫禄のライヴ。


■第4位
AKRON/FAMILY @京都メトロ (2009年6月11日)
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こんな凄いヤツラだとは思いませんでした。会場のエネルギーを自分達のエネルギーに昇華させ爆発した圧倒的ライヴ。


■第5位
神門 @ 名村造船所Black Chamber (2009年5月30日)
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初めて観て、完璧に心打たれてマジで泣きそうになりました。


■時点
SUNN O))) @ 鰻谷sunsui (2009年4月23日)
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2人でもやっぱり凄かったSUNN O)))。あまりの音圧で照明が割れるなんて事を経験したことは忘れられません。



と、いうわけで2009年総括は終了です!

  
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# by Blacksmoker | 2010-01-08 00:55 | 2009年総括

2009年の10曲。


さて、続いてはBlacksmokerの2009年の10曲です。

やはり世相を反映してか、どん底の状況でも諦めずに這い上がる心情を描いた曲が多く、そういったメンタリティに心惹かれたように思います。

それではいってみましょう。


<2009年の10曲>


■第1位
BRUCE SPRINGSTEEN [The Wrestler]
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ミッキー・ロークが素晴らしい演技をみせた映画「The Wrestler」のエンディングで流れる感動的な曲。主人公の壮絶な人生をブルース・スプリングスティーンが物悲しく歌います。いつものボスではない抑えたトーンがさらに涙を誘います。


■第2位
YOUNG JEEZY feat. NAS [My President]
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「俺の大統領はブラック。そして俺のランボルギーニはブルー。そして俺のエアジョーダンはライト・グレー。」というコーラスを聴いただけなら、よくあるセルフボースト的な曲かと思われますが、その後はJeezyの貧困から這い上がった生い立ちラップが続き、遂に黒人が大統領になった事を祝福、最後に畳み掛けるように切り込むNasのラップが最高にカッコイイです。完璧な1曲。
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ラップの凄みと説得力では、今やこのYoung Jeezyに勝るラッパーはいないでしょう。


■第3位
アン・サリー [時間旅行]
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いつもは淡々と歌うこの人の曲の中では、珍しいドラマティックな曲。不思議なラブ・ソング。


■第4位
MAXWELL [Pretty Wings]
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完璧すぎる。最後の1分以上も続く余韻のような無音状態も含めて完璧です。50回連続で聴いても飽きません。


■第5位
ANIMAL COLLECTIVE [Summertime Clothes (Dam-Funk Remix)]
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2009年の夏のアンセムでした。Dam-Funkにより新たな擬似ディスコに生まれ変わった名曲!


■第6位
RUSCONI TRIO [One Up Down Left Right]
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フランスの新生ピアノ・トリオによるスタイリッシュかつクラシカルな要素も感じられる新しいジャズ。PVも最高にクールです。


■第7位
NEAL CASAL [The Cold & The Darkness]
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Ryan Adamsの右腕的存在」から、「Ryan Adamsに匹敵する才能」になりましたね。来日公演でも披露された隠れた名曲です。


■第8位
ANTHONY HAMILTON [Fine Again]
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「どんな状況でも、また再び良くなるよ」と歌われるゴスペル調の曲。徐々に盛り上がる後半も素晴らしい。


■第9位
RHYMESTER [Once Again]
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いつもの皮肉やユーモアを封印し、ストレートに心情を綴ったアンセム。「Over 30」な人には特に響くリリックに、あえてBPMを抑えたトラックも説得力あります。


■第10位
LEDISI [Everything Changes]
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メジャー感は増したが、その熱いソウルは全くもって不変。「Everything Changed」なら後ろ向きですが、「Everything Changes」なら前向きな言葉になるのです!

 
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# by Blacksmoker | 2010-01-06 18:11 | 2009年総括

2009年の10枚。


あけましておめでとうございます。

このブログを始めてもう4年が経ちました。最近は更新がなかなかままなりませんが、毎日多くの人がここを訪れて下さって、とても嬉しい限りです。5年目を迎える今年は、さらなる飛躍を目指して頑張ります。どうぞヨロシクお願い致します。

では、毎年恒例の2009年総括。いってみましょう。


<2009年の10枚>

■第1位
神門 [栞]
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まだ23歳の神戸出身のMC。[詩集]と[死終]という、それぞれ異なるのタイトルが付けられた2枚組の大作。
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単純明快な言葉しか使っていないにもかかわらず、ここまで深く心に刺さるなんてまさに圧巻の一言。特に[死終]は凄い。感動を超えて、戦慄さえ憶えます。


■第2位
CHURCH OF MISERY [Houses Of The Unholy]
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日本どころか、もはや世界一のドゥーム・メタル・バンドによる最凶のドゥーム・アルバム。
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全てのメタル・ギタリストはこれを聴いて勉強すべし!


■第3位
STAFF BENDA BILILI [Tres Tres Fort]
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Konono N゜1に続いて、またもやコンゴ共和国から強烈な一撃。全員車椅子のストリート・ミュージシャンによる野外一発録音。生気漲るゲットー・ミュージック。


■第4位
INDIA.ARIE [Testimony Vol.2: Love & Politics]
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スティーヴィー・ワンダー・チルドレンから更なる進化をみせた傑作。様々な世界の音楽を軽やかに飛び回る姿が爽快。


■第5位
MONSTERS OF FOLK [Monsters Of Folk]
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これはまさしく現代版Crosby, Stills, Nash & Youngだ。My Morning JacketとBright EyesとM.Wardらによる驚異の合体プロジェクト。お互いの才能が相殺されずに、見事な化学反応をみせた素晴らしい作品。


■第6位
RAEKWON [Only Built 4 Cuban Linx...Part.2]
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分かりやすいNY賛歌「Empire State Of Mind」よりも、個人的には断然コッチにNY魂を感じる。圧倒的なハードコア・ライムの詰まったアルバム。


■第7位
AKRON/FAMILY [Set 'em Wild, Set 'em Free]
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得体の知れない不気味なパワーが爆発したサイケデリック・フォーク。ライヴも凄かったです。


■第8位
MORITZ VON OSWALD TRIO [Vertical Asent]
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Carl Craigとの企画盤も面白かったが、こっちは本領発揮の貫禄のミニマル・ダブ。とんでもない音圧で、なおかつダンサブルな所が凄い。


■第9位
NEKO CASE [Middle Of Cyclone]
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前作で確立したオリジナリティをより強固にしたアルバム。なおかつセールス的にも成功。ヴォーカルの逞しさが素敵です。


■第10位
EGBERTO GISMONTI [Saudações]
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キューバのストリング・オーケストラによる1枚目と、ギター・デュオによる2枚目という全く異なった音楽の2枚で偉大なるエグベルト・ジスモンチの脳内が堪能出来る壮大な作品。
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# by Blacksmoker | 2010-01-02 23:55 | 2009年総括

FLYING LOTUS & HUDSON MOHAWKE @ Club Karma 11/22(土) 2009



いや~少し古くなってしまいましたが、ライヴレポート。

幕張の「Electraglide 2009」は行けませんでしたが、こちらには行ってきました。今や全てのビートメイカー達の新たなる指標となったFlying Lotus、そしてそのFlying Lotusに続く存在として最も注目されるHudson Mohawke。このWarp所属の2組による単独来日公演。
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会場に入るともうかなりの人の多さで、フロアはパンパン。既にHudson Mohawkeが始まっていおり、「7x7 Beats」に収録されているStar Crackoutが流れていました。およそ、最先端のビートメイカーとは見当もつかない、ファッションセンス・ゼロな出で立ち(何たって狼とか動物の柄がプリントされたスウェットに、首元には青いシャツが覗いている!)に、脱力感を覚えるが、音の方は紛れも無い天才。変則的だがファニーなビートが、フロアを揺らします。しかもHudson Mohawkeの曲はメロディがキャッチーなので親しみが持ちやすい。イントロ一発でフロアを沸かせる曲が非常に多い(Polkadot BluesOvernightなんて特に!)。なかなかステージの曲構成も素晴らしく、フロアのオーディエンスを確実に掴んでいましたね。そして見た目よりもかなり激しいライヴを展開してくれました。

そして、そのHudson Mohawkeの終盤からステージに登場したFlying Lotus。マイクを持ちMCまでやってしまうこの男はHudson Mohawkeのステージ以上の激しさ!
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あんな荒廃的で近未来的で無機質なビートを作る男なので、勝手に身構えていたコチラの予想を完璧に裏切る「陽性キャラ」。よく笑って、よく動いて、オーディエンスまでガンガンに煽るその動きで、Hudson Mohawke以上の盛り上がりを見せていたのは言うまでもありません。
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そして選曲はというと、もちろん「Los Angels」からの曲をふんだんに盛り込んだセット。どの曲もレコードよりビート感が全面に出ていて、よりヒップホップ方向に振ったサウンドになっており、フロアの「縦ノリ度」もかなりのものでしたね(その流れの中でCamelMelt!のイントロが聴こえてくる時のカタルシスは格別!)。
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Hudson Mohawkeと同じで、Flying Lotusも天才なのですが一見するとそんな風には一切見えない。Aphex TwinChris Cunninghamなどはそのキャラと音がかなり一致しているので理解出来ますが、Hudson MohawkeFlying Lotusは、ステージ上のキャラと音の雰囲気が違いすぎてて面白いです。やはりこのギャップの大きさは新世代ならではなんでしょうね。
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将来、彼らがもう少し年齢を重ねていき、ダンス的な側面より、もっとアーティスティックな側面を強調していく時期が来るとは思いますが、今回の若さ漲るエネルギッシュなステージングに個人的には大いに楽しませてもらいました。

それと同時に来るべきFlying Lotusの次のレコードが楽しみでなりません。

   
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# by Blacksmoker | 2009-12-30 17:24 | ライブレポート

DAMON & NAOMI @京都UrBANGUILD 11/11(火) 2009


もう「元Galaxie 500」という肩書きは必要ないでしょう。マサチューセッツ州ボストンのデーモン・クロコウスキーナオミ・ヤンによるフォーク・デュオ「Damon & Naomi」が昨年に引き続いて来日。
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今回のツアーのタイトルは「Lost Gaijin」。松尾芭蕉「奥の細道」をこよなく愛するという、日本の文化(特に文学)にかなり深い関心を持つ彼ら。今回の来日公演はアーティストが普段は公演を行うことのない日本の地方都市(青森や宮城や広島など)まで2人で細かく廻るツアーで、まさしく「Lost Gaijin」=さまよえる外国人という言葉がピッタリですね。

個人的な趣向ですが、こういった「インディ・バンドがアメリカン・ルーツ・ミュージックに接近した」音楽が大好きで、例えば昨年に初来日公演を果たしたIdaなんてめちゃくちゃ大好きなバンドです。Yo La TengoThe Pastelsなんかもそうですね(The Pastelsはグラスゴーのバンドだけど)。
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彼らに共通するのは、単なるルーツ・ミュージックに接近するだけでなく、そこに「サイケデリックな要素」が加味されていることだろう。

パンクロック・バンドがルーツ・ミュージックに接近するとモロにカントリー路線のシンプルなサウンドになることが多いのですが(技術的な問題もあるんでしょう・・・)、彼らのような元々は激しいサウンドでならしていたバンド達というのは、ルーツ・ミュージックにフィードバック・ノイズや不協和音、さらには消え入りそうな浮遊感のあるサイケデリックなサウンドが導入されている。シンプルなカントリーもそれはしれで良いのですが、やっぱり「中毒性」という点ではサイケデリックな方が好きですね。

会場に着くと、当初アナウンスされていた「デーモンとナオミの2人による編成」とは違い、ギタリストとして栗原道夫がステージに参加していました。80年代から活動する孤高のバンドGhostのギタリストであり、即興演奏を得意とする天才(最近ではMerzbowともコラボレーション作品をリリースもしていますね)。
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Damon & Naomi栗原道夫は、活動初期の頃からの付き合いで毎回アルバムに参加している仲で、2000年には「Damon & Naomi with Ghost」名義でアルバムもリリースしています。

そんな栗原道夫の多彩なギターが2人のシンプルで美しいフォーク・サウンドに彩りを与えます。デーモン・クロコウスキーのアコースティック・ギターをかき鳴らしながら歌う枯れた声に、寄り添うナオミ・ヤン、そして栗原道夫という3人のアンサンブルが、まるで昔から組んでいた一つのバンドのように素晴らしいサウンドを聴かせてくれます。
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でも数曲登場したら、数曲休憩というルーティンで、Damon & Naomiの音楽が持つシンプルなフォークとサイケデリックという両方の側面をしっかり見せてくれていて楽しめましたね。個人的には、彼らの中で最も好きな、ナオミがリードを取るA Second Lifeが聴けたのも嬉しかったです。最後には何と、前座バンドのメンバーも加えて何とJacksのカヴァー遠い海へ旅に出た私の恋人も!
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去年に同じ場所で観たIdaもそうでしたが、全く飾らない出で立ちのミュージシャンが全く飾らない音を奏でる。ただそれだけなのに、何でこんな素晴らしいサウンドが出来るんでしょうか?おそらく、それは彼らの体に染み付いた様々な音楽が熟成された結果なのであり、それこそが彼らの「歴史の深さ」なのでしょうね。
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猛烈に感動するわけでもなく、衝撃的な迫力があるわけでもないけれど、ただただじんわりと、そしてしんみりと聴き入ってしまう素敵なライヴで。また来日の際には小さなライヴハウスで観てみたいですね。

     
     
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# by Blacksmoker | 2009-12-04 01:16 | ライブレポート

LIGHTNING BOLT @ 京都UrBANGUILD 11/7(土) 2009


ここ数年でLightning Boltは様々なアーティスト達とのコラボレーションにより、その知名度をさらに上げて来た。
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特にドラマーのブライアン・チッペンデイルは、Bjork(金の亡者)のアルバム「Volta」への参加や、Boredomsの77台ドラム公演「77 Boadrum」への参加などで、ロック界一の「変態超人ドラマー」としての地位を着実に築いていると言っても良いでしょう。さらにはバンドとしてもGuitar Wolfとのスプリット・シングル「ウルトラ・クロス」に、Struggle For Prideと共に参加して、その特異な存在感を見せつけていました。
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全国のヘッズを落胆させた2006年の来日中止から3年。遂にLightning Boltが戻ってきました。しかも新作「Earthly Delights」をリリースした直後という絶好のタイミング。今回は全国12ヶ所を縦断するツアーで、日本全国の一癖二癖あるバンド達と共演します(東京公演では何とGuitar WolfStruggle For Prideが共演!)。

Ultra Bideの演奏が予想以上に良く、Lightning Boltの開演時間まであまり待った気はしなかったですが、Lightning Boltの時間になるとステージではなく客席の中にドラムセットとスピーカーが組み上げられていきます。もう彼らのライヴではお馴染みの光景ですが、やはり実際自分の目でこの光景を見るとかなり興奮しますね。

そしてLightning Boltの2人が登場。
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寡黙なベーシストのブライアン・ギブソンとは対照的に、陽性キャラなブライアン・チッペンデイル。周りを取り囲む客に、色々と喋りかけながらその場でセッティング。そしてお馴染みのマスクを被り、そこにマイクを突っ込みスタンバイ完了。そうなんです、初めて観る人に説明しますと、Lightning Boltはドラマーが歌い(叫び)ながら叩くというスタイルなのです。客席で演奏するというのも彼らの演奏スタイルです。

もう始まった瞬間から歪みまくったベースの爆音が鼓膜を劈き、ドラムがとんでもない速さで叩き始めます。客席の真ん中で演奏してるもんだから、客が目の前で押し合いへし合いし、シンバルは倒されるは(すぐにスタッフが立て直す)、それでも一向に演奏を止めることなく、そのメチャクチャな状況を更に自分達の味方にして、とんでもないグルーヴが生まれています。
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曲はもう何の曲をやってるのか既に判別出来ませんが、変拍子バリバリの超高速ドラミングは、もう「凄い」という言葉でしか表現出来ません。「タイト」や「正確無比」という言葉とはある意味正反対に位置する傍若無人に暴れまくるドラムは圧巻です。さすがロック界一の変態ドラマー、ブライアン・チッペンデイル。ハンパないヤバさです。目の前1mで観ていたんですが、もう凄すぎて笑ってしまうくらい。
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そんな大暴れするドラムの横で1人で寡黙にベースを弾くブライアン・ギブソンの全く対照的な姿がこれまた笑えるくらい面白い。何なんでしょうこの凸凹感は(笑)。

そして、彼らのライヴのもう1つの主人公は我々周囲にいる客に他なりません。僕らが騒いで、暴れて盛り上げれば盛り上げるほど、どんどんLightning Boltの演奏のテンションが上がってくるんです。まさに「観客参加型」。これがLightning Boltのライヴの真の姿なのでしょう。何もかも規格外。最高すぎるぜ!
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まあ彼らのライヴは何度も何度も観るものではないかもしれませんが、こんな凄くて面白いライヴは人生で一度は観たほうが良いですよ!絶対に損はしないですからね。
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# by Blacksmoker | 2009-11-18 15:43 | ライブレポート

コトリンゴ @ Cafe Martha 10/27(火) 2009


初めてコトリンゴの名前を聞いたのは2006年。1stアルバム「Songs In The Birdcage」が出たとき。坂本龍一の「commons」レーベルからのリリースという事で、教授自らかなりプッシュしていたのを憶えています。その時はちゃんと聴くことなくスルーしてしまって、2ndが出たときもスルーしてしまってました(iTunesで無料配信されていた曲おいでよは聴きましたが)。
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しかしその後、自分の好きなミュージシャンのアルバムの中でかなりコトリンゴの名前を見掛けるようになってきてて、かなり気になってました。そして、ようやく1stアルバムを手に入れましたが、これが個人的にかなりのヒット。コトリンゴは自分のお気に入りのミュージシャンになっていましたね。

f0045842_2048371.jpgそんな中で、9月に彼女の3rdアルバム「Trick & Tweet」(右写真)がリリース。彼女の音楽性である「ピアノを主体にした不思議なポップ・ソング」という根本はそのままに、おおはた雄一Sakerockらのゲスト参加もあって、より生演奏感を増し、さらにはよりバラエティに富んだ内容となっており、かなり素敵なアルバムになっていました。

さて、そのコトリンゴの3rdアルバム「Trick & Tweet」のリリース・ソロツアーに行って来ました。場所は阿波座のCafe Martha。以前にニール・カサールもココで観ましたが、アットホームさ雰囲気がかなり良い場所なので、こんな所で観れるなんて嬉しいですね。かなり楽しみだったので開場時間前に行ったら僕ら以外に誰もいなくて、一番に並ぶ事が出来たので最前列のソファで観る事が出来ました。

現れたコトリンゴはアルバム・ジャケットの時から更に短く髪を切っていましたが、イメージよりもかなり大人しそうな人です。ピアノの前に座り、囁くようなMCと共にスタート。
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一聴して他のアーティストと違うのは、まずそのピアノの弾き方でしょう。もの凄い音数。これはモロにクラシックやジャズ畑出身の人の弾き方ですね。指の動きが尋常じゃないくらい速くて、かつ繊細。そしてダイナミックでありながらも優雅なピアノ演奏に、一気に視線が釘付けになりましたね。さすがバークレー音楽大学卒というのはダテじゃない。
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そして雲のように軽やかに浮遊するコケティッシュなヴォーカルがまた不思議な魅力満載です。言葉を置いていく感覚(センス)が抜群に良い。最小限の言葉で表現する詩のも非常に小気味良いですね。彼女の歌は「音の響き」(言霊)を重視しているような気がしますね。この辺の独自の言語センスは、おそらく彼女がバイリンガルという事にも関わっているのでしょう。彼女は、おそらく歌詞が最初に出来て、そこにメロディをはめていくタイプの人だと思います。
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様々な音が入っているアルバムと違って余分な音を省いているだけあって、彼女の歌とピアノにより焦点が当たることによって、彼女の不思議なメロディ・センスが浮き上がってくるのですが、彼女の描くメロディは、シャボン玉のように儚くも美しくホントにクセになりますね。安藤裕子が作詞を担当した友達になれるかな?は生で聴くと、アルバムで聴くよりその良さが引き立ちますね。
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「Trick & Tweet」のツアーながらも、1stや2ndの曲も多数挟んだ選曲(僕の好きなこんにちは またあしたおいでよなども)で、前半と後半に分けた2部構成。時間にすると2時間くらい彼女の素敵な音楽をじっくりと堪能することが出来ました。

アルバムでも感じましたが、ライヴを観てさらに思ったのは、やはりこの人は凄い才能の持ち主です。アルバムを出すごとに他の才能あるミュージシャン達との交流が増えていってるのも、彼女にそういう才能と魅力があるからでしょう(凄い才能でありながら、かなり天然系の女性なので一見そんな風には見えないんですが・・・)。
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クラムボン安藤裕子が人気を得ている現在なら、このコトリンゴも間違いなく聴かれるでき人ですよ。まだ聴いた事のない人は是非チェックしてみて下さい。

  
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# by Blacksmoker | 2009-11-12 20:37 | ライブレポート

BILL FRISELL [Disfarmer]


Unsung」という言葉をご存知だろうか?

生きている時には全く日の目を見ることはなかったが、亡くなって後に評価されるようになった人のこと。例えばヴィンセント・ヴァン・ゴッホであったり、日本でなら山下清であったりする人ですね。個人的には、架空の少女「ヴィヴィアン・ガールズ」を人知れず描き続けたヘンリー・ダーガー(昨年、彼の生涯を追った映画「非現実の王国で」もありました)が思い浮かべられますね。

そんな「Unsung」の1人、マイク・ディスファーマー(1884-1959)。
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アーカンソー州の山間部にあるハーバー・スプリングスという小さな街で1917年から写真館を40年間営み、街の人々の写真(ポートレイト)を撮り続けた男で、その後独りでその写真館の中で死んでいるのを発見されている。1974年にこの写真館を買い取った夫婦によって、ディスファーマーの撮った写真が大量に発見され、これが近年になってもの凄い評価を受けるようになったのです。
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マイク・ディスファーマーという人はとても変わった偏屈な人物だったようで、どんな時でも黒いスーツと、黒い帽子に、コートを着て、毎夜街を徘徊し、子供達を脅かしたりしていたそうです。そして誰とも口を利かず、住人からは恐れられていたようですね。実は彼の本名はMike Meyersという名前でしたが、Meyersがドイツ語で「農夫」=Farmerという事を嫌がって、「非農夫」=Disfarmerに変名したというエピソードもあります。
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彼は写真を撮る方法も一風変わっており、天井からの自然光を使い撮影していたそうで、納得のいく写真が撮れるまで一時間以上もカメラの前に立たせたりしたこともあったと言われている。その独特な手法によって、彼の写真は一際異彩を放つものになっているのです。ただ、ディスファーマーはこれらの写真を別段外に向けて発表しようとしたわけでなく、ただ黙々と自分の為に撮り続けていたというのが興味深い。
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さて、そんなマイク・ディスファーマーの残された写真にインスパイアされ音楽を付けたのが、今回の主人公であるビル・フリーゼル(下写真)。
Blacksmokerの最も好きなギタリストです。
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このアルバム「Disfarmer」(右写真)は、ビル・フリーゼルを中心とし、彼を含めた4人のミュージシャンが、ディスファーマーの写真の中に写った人物達の背景や感情を音楽によって表現するというとても興味深い作f0045842_1542765.jpg品だ。Cuong Vuのアルバムや、さらにはEarthのアルバムなどにも参加したりとアヴァンギャルドな方向にも足を突っ込みつつも、最近はアメリカン・ルーツ・ミュージックへの傾倒をあらわにしているビル・フリーゼル(その動きはライ・クーダーとも共振しているようにも思えます)。そしてこのアルバムは、そのビル・フリーゼルのアメリカン・ルーツ・ミュージックへの傾倒の最もたる作品になるであろう素晴らしい作品です。もちろんNonesuchからのリリース。

注目すべきはビル・フリーゼル以外の3人のミュージシャン。これがルーツ・ミュージック好き(ちょっと上級編)なら唸るほどの実力派揃いのメンバー。

まずはグレッグ・リース
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もうビルの作品ではお馴染みのスティール・ギター・プレイヤー。最近ではジョー・ヘンリーのアルバムでも素晴らしい働きを見せていたし、Eaglesの再結成アルバムにも参加していたりしてましたね。個人的にはクレジットにこの男の名前を見るだけでも安心してしまうほど信頼感があります(ちなみにビル・フリーゼルの組んだ弦楽器5本によるバンドThe Intercontinentalsのアルバムの中に入っているListenという曲でのグレッグ・リーズの弾くスティール・ギターがホントに素晴らしいので是非聴いてみて欲しいです)。

そしてもう一人は、ヴァイオリン奏者のジェニー・シェインマン
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この女性は要注目です。ジョン・ゾーンらとも交流を持つNYアヴァンギャルド・ジャズ・シーf0045842_27641.jpgン出身の人でありながら、ノラ・ジョーンズらとも親交を持つ実力派。既に自身のソロ・インストゥルメンタル・アルバムも何枚もリリースしており、昨年は何とヴォーカル・アルバム「Jenny Scheinman」(右写真)までリリースするという凄い女性なのです(しかも歌も上手い)。そのヴォーカル・アルバム「Jenny Scheinman」はかなり素晴らしい出来なので絶対にチェックして欲しい作品です。

そして最後の一人は、ベースのヴィクター・クラウス
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知る人ぞ知る名ベース・プレf0045842_2141276.jpgイヤーであり、シンガーソングライター。さらには、あのアリソン・クラウスの弟という凄い血統なのです。そしてジェニー・シェインマンに続いて、この人も歌えるんです。2004年にNonesuchからリリースされた彼のソロ・アルバム「Far From Enough」(右写真)は個人的に、アメリカーナを代表するシンガーソングライターの大傑作だと思いますね。これも是非チェックして欲しいです。

さて、そんな3人の実力派のミュージシャンを従えてビル・フリーゼルは雄大に、時には繊細にディスファーマーの写真から感じ取られる印象を音にしていきます。ビル以外の3人のミュージシャンも、個々がかなりの実力派でありながら、ここではあくまで主人公であるビル・フリーゼルのギターの音色を最大限に活かし見事にサポートしています。その音の映像喚起力はとてつもなく冴えています。
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ビル・フリーゼルDisfarmer Themeという1つのテーマ曲を作り上げ、その曲を色々とアレンジして、違った曲に変えている曲が多く、耳慣れたフレーズが何度も出てきてとても心地良いです。これらの曲を作るためにビルはノース・キャロライナからサウス・キャロライナ、さらにはジョージアからミシシッピを車で廻り、ディスファーマーの生きたアーカンソーのハーバー・スプリングスまで赴いたそうです。そうする事により、その空気感までもこの楽曲の中に映し出す事に成功しているように思えます。
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このアルバムにはビルの自作の曲以外にも、アーサー・クルーダップ作のエルヴィス・プレスリーがカヴァーした事でも有名なThat’s Alright, Mama、さらにはハンク・ウィリアムスLovesick BluesI Can’t Help It(If I’m Still In Love With You)のカヴァーを挟み、どちらかと言うと、とりとめもなくゆっくりと流れるアルバムの音楽にメリハリを付けていますね。

さらに終盤に出てくるArkansas Part.1からPart.3の連続する3曲は、1949年から1963年にアーカンソー州の州歌だったArkansas Travelerを基にビルが自ら作った素敵な曲です。
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どの曲もディスファーマーの写真のようにコンパクトでありながらも情景の浮かんでくる非常に映像的なサウンド。時間を忘れてしまう程の気持良さがあります。写真に写った人の表情の奥にあるものに想像しながら聴くのが、このアルバムの最も正しい聴き方なのでしょう。
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さらには、ディスファーマーがどんな事を考え、どんな思いを込めてこれらの写真を撮ったかということにも思いを巡らせて聴くのも面白いでしょう。私もディスファーマーの写真集が欲しくなってきましたね。
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是非ともディスファーマーの写真と共に聴いて頂きたい素敵な作品です。

   
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# by Blacksmoker | 2009-11-08 01:08 | COUNTRY / BLUEGRASS

This Is It!

京都にて。
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Tシャツもマイケルでした。凄い子だなぁ・・・。
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# by Blacksmoker | 2009-11-01 01:54 | Live Shots

BOREDOMS in BOREDRUM @名村造船所跡地 10/3(土) 2009


2007年7月7日に77台のドラム、そして2008年8月8日には88台のドラムでもって行われたBoredomsによる「BOREDRUM」公演。このまま2009年には「99台か!?」と思われましたが、今年は9台のドラムによってAll Tomorrow’s Partiesで披露されたようです。

今までの「BOREDRUM」はアメリカで開催され日本で観ることは出来なかったのですが、今回初の日本披露となる「BOREDRUM」がここ大阪で開催されました。場所は、住之江区の名村造船所跡地。昨年に同じ場所でZettai-Muの13周年記念イベントでV∞REDOMS名義でのライヴが行われましたが、今回は「NAMURA ART MEETING '04-'34 名村造船所跡地30年の実験 vol.03 起程Ⅱ~海路へ臨む祭礼」というイベントの一環として行われるもので、これは既に廃墟となった名村造船所をアートの拠点として発展させていこうというイベントなのです。よってヤノベケンジによる作品「ラッキードラゴン」(被爆した第五福竜丸からネーミングされてる)と、水都2009でも話題だった「ラバーダック」(わざわざ会場まで運んできたようです)などアート作品が並べられており、かなり特異な空間になっていましたね。
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さて、その「ラッキードラゴン」と「ラバーダック」に挟まれた場所が今回のステージ。Studio Partitaの入り口にある赤い鉄骨で組まれた倉庫のような場所で、ほぼ野外ステージと言っても差し支えないでしょう。

ステージには既にドラムセットが並べられており、その数は8台。直前の情報でドラマーの1人であるHellaザック・ヒルが来日中止になっていたので、9台から1台引いた形ですね(ザック・ヒルは次の日にある予定だったソロ・ライヴも楽しみにしていたのに残念!)。

定刻になりメンバーが6人登場。EYEはいつものように真ん中に立ち他の5人がドラムセットに座ります。そしてEYEの合図で5台のドラムのシンバルが一斉に鳴り響きます。野外だけあって音が反響せずに拡散し、その音が「」の音のようにも聴こえます。
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そしてYoshimiのドラムを合図に他の4人のドラマー達が同時にタムをヒット。「ズドン!」という途轍もない低音が会場に響きます。今回ちゃんと観て気付いたのですが、このドラムを叩くタイミングはYoshimiのドラムに他のドラマー達が合わせているんですね。だから他の4人はYoshimiの一挙手一投足を凝視していましたね。ここは凄い緊迫感でした。

そのドラムのパフォーマンスを観ていると、会場後方が騒がしくなり、振り返ると神輿に担がれたドラムが登場!
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これは昨年観たライヴの時も同じように神輿に担がれたドラムが登場しましたが、今回は何と2台で登場!!
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昨年のライヴの時はフロアが人でパンパンで、押し合いでもう大変な騒ぎになってましたが、今回は会場の人数は意外に少なかったので(そういやこのイベント、あんまり大々的に宣伝してなかったですね)比較的落ち着いていましたね。

そして担がれたドラム2台が、今度は客席の中央で時計回りに回転し始め、それに呼応してステージ上の5台のドラムもどんどん大きな音になり、かなりのカオス度。いや~毎回毎回Boredomsにはホント驚かされますね。
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そのパフォーマンスが終わり、ドラマー2人がステージに加わり、さらにはEYEまでもソラムキットに座り、ドラム8台の共演!!凄い迫力です。昨年のドラム4台の時よりも破格の破壊力ですね。

EYEはその後すぐに中央のブースに戻り、もう一人のドラマーのDMBQ増子さんもエフェクターボードに移り、ドラムは左右に3台づつ配置された6台に。
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その後はほぼ最後までノンストップでしたが、昨年観たライヴと大きく違ったのはそのライヴの構成力。昨年は中盤で少し中だるみした所もありましたが(ドラムが2台になるトコとか)、今回はかなり「見せる」力が格段にグレードアップしており、随所に様々な展開を盛り込んでいて、最後まで全く飽きさせない構成になっていたのはさすがでしたね。
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Boredomsの音源でもよく耳にするオープンリールのテープ逆回転が生で観れたり、ゴリラのように叫び声を出すEYEのヴォーカル・パフォーマンスなどかなり視覚的にも面白い。
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Boredomsに当てはまる言葉ではない気もしますが、より「エンターテインメント性」を増していたと言ってもいいでしょう。そういやSuper Go!!!Acid Policeのフレーズも飛び出してましたね。
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さらに陽も暮れて辺りが暗くなってくると(古来より祭というものは夜始まるのです!)、ステージの音に合わせて今度はステージの横の港に泊まっていたヤノベケンジの「ラッキードラゴン」が、突如として炎を吹き始めステージも観客もさらにヒートアップしてましたね。
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ステージだけでなく周りのものも含めて凄いパフォーマンスを見せてくれました。時間にすると1時間少々という短いパフォーマンスでしたが、あの場にいなければ分からない空気感も含めて、充分過ぎるほど堪能させてもらいましたよ。

個人的な見解ですが、今回のパフォーマンスでBoredomsの「Boredrum」は一段落を迎えたんではないでしょうか。おそらくこの後もさらに進化したパフォーマンスでこちらの度肝を抜いてくれるであろう彼らの次のステージが楽しみですね。
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さて、このイベントはこの後も高木正勝のライヴや、ヤノベケンジの新作「黒い太陽」のパフォーマンス(ライヴを終えたBoredomsのメンバー達も見に来てました)やら最後までかなり面白いイベントでしたね。来年も期待してます!
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# by Blacksmoker | 2009-10-28 23:00 | ライブレポート

映画「O Mistério do Samba」


現在、大阪の西九条シネヌーヴォーで行われている「ブラジル映画祭2009」(ちなみに東京は終了し、大阪は明日16日まで)。そこで日本初上映となる映画「O Mistério do Sambaミステリー・オブ・サンバ ~眠れる音源を求めて」を観てきました。
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マリーザ・モンチが共同プロデュースを務めたこの映画。これは、1998年から2007年の9年間にマリーザ自身がブラジルのリオ市の北西部にある街「オズヴァルド・クルス」にある最も伝統のあるサンバ・チーム(エスコーラ・ヂ・サンバ)の「ヴェーリャ・グァルダ・ダ・ポルテーラ」を訪れて、彼らの作ったサンバの中でも未だに録音されずに埋もれたままになっているサンバを録音しレコードに残そうというプロジェクトを追ったドキュメンタリー映画です。ブラジル音楽ファンにとっては、素晴らしく美しいシーンの連続で感涙の映画ですね!熱心なファンでなくともブラジル音楽に少しでも興味のある人は観ておいて損はないでしょう。

そもそも、この映画の存在は最近まで全く知らなかったのf0045842_9442742.jpgですが、これによって2000年にリリースされたヴェーリャ・グァルダ・ダ・ポルテーラのアルバム「Tudo Azul」(右写真:日本盤オリジナル・ジャケット)をマリーザ・モンチがプロデュースしていたこと、そして2006年にリリースされたマリーザの2枚の傑作アルバムのうちの1枚「Universo ao meu redor/私のまわりの宇宙」がサンバ・アルバムだったことの理由がようやく分かりましたね。このプロジェクトがその2つを繋ぐミッシング・リンクだったのです。

さて、このヴェーリャ・グァルダ・ダ・ポルテーラは、1926年結成というとてつもなく長い歴史を誇るエスコーラ。それゆえに初期の中心的メンバーはここ数年で相次いでこの世を去っているが、現在の主要メンバーであるモナルコ(ちなみに彼の息子のマウロ・ヂニスはマリーザの2007年の来日公演でバック・バンドのメンバーでした)や、カスキーニャらを中心にいまだその勢力は健在だ。その彼らや、さらにはヴェーリャ・グァルダ・ダ・ポルテーラのメンバーでもあり、その後「サンバの貴公子」とも言われる天才サンビスタのパウリーニョ・ダ・ヴィオラのインタビューを中心に、このオズヴァルド・クルスという街に根付くこの美しいサンバの生い立ちが次々と語られていく様は、非常に興味深く、観るものの心を捉えます。
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そして全編に渡って登場するマリーザ・モンチのサンバに対する真摯な姿勢にも目が行きます。実はマリーザは父親がヴェーリャ・グァルダ・ダ・ポルテーラの役員を務めていたこともあり、幼少の頃から彼らのサンバが身近にあったらしいですね。そもそもマリーザはデビュー・アルバムでも、カルトーラの作曲したサンバを取り上げていたし、続く2ndや3rdアルバムでもこのヴェーリャ・グァルダ・ダ・ポルテーラのメンバーと共に録音したサンバを収録している。特に3rd「Verde Anil Amarelo Cor de Rosa & Carvão/ローズ & チャコール」でラストを飾るEsta Melodiaは素晴らしいです。
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当初はミュージシャンでもなく、普通に大工など仕事をしていたというヴェーリャ・グァルダ・ダ・ポルテーラのメンバー達の様々な話は、酔っ払いの昔話のようでもあるが、自由奔放な男達のなかなか魅力的なエピソードばかり。

しかし、この映画で本当に語られるべきは、この男達を支える奥さんら女性達の力強さでしょう。
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どちらかと言うと勝手気ままな男達を、呆れながらもしっかりと支える彼女達がいなければ、この地のサンバはなかったと言っても過言ではないでしょう。単純な恋愛だけでなく、失恋相手への怒りや、妻への謝罪、人生訓など様々な感情が込められた魅惑的なサンバは、やはり女性という存在があってこそなんですね(あとマリーザと共に共同で監督を務めるカロリーナ・ジャボールが女性という事も関係しているかもしれませんが)。

そして個人的なハイライトは、既に亡くなった初期のメンバーのマナセーアの家でマリーザが未発表の歌詞やテープなどを発見し、「これは宝物を発見したわ!」と興奮するシーン。家族の結構ずさんな管理状態も凄いが、こうやって歴史から抹消されるところだった曲が救出される様子はほんと感動的ですね。

最後は、ヴェーリャ・グァルダ・ダ・ポルテーラのメンバーがマリーザと共に歌うEsta Melodia
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前述したようにマリーザの3rdアルバム「Rose & Charcole」にも入っているこのサンバが歌われるシーンは壮観ですよ。

そしてこの映画の全編に渡って漂っているのは、この街のサンバに対する深い愛情です。とある街角でサンバを演奏するメンバー達を見て、たまたま通りかかったお婆さんがその音に合わせてステップを踏むシーンなんてホント最高です。いかもこの街にサンバが根付いているのかが分かりますね。エンドロールで流れる演奏でももうお爺さんお婆さんにもなる人達が踊り始める姿は微笑ましいですね。
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このオズヴァルド・クルスに住む若者達が抱くサンバ感というものも聞いてみたかったりもしますが、やはり伝統というのは大事にしていかなければいけません。テープレコーダーも存在しなかった時代から口承文化として受け継がれてきたこの美しいサンバの名曲達が形として残り、こうやって現代に生きる私達の耳に届くという歴史的意義は非常に大きいです。マリーザのこういう高尚な意識を持った姿勢にもリスペクトです。
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観終わった後に、清涼感を感じつつも、何か心の中が熱くなるような映画でした。映画を観る前にレコード屋でマライア・キャリーの新作を買ってしまった自分が少しだけ恥ずかしく思えてしましました・・・。
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# by Blacksmoker | 2009-10-15 09:31 | 映画

MISHRAS @ 住吉区正覚寺 9/12(土) 2009


インドの大御所シタール奏者Pandit Shivnath Mishraの奇跡の来日。
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さらには彼の息子であるシタール奏者Deobrat Mishraと揃って「Mishras」としての来日。そしてその公演場所は、何と大阪市住吉区の下町の一角に佇む正覚寺というお寺。江戸時代より約300年間大阪の江戸掘に居を構えていたが、第2次世界大戦の影響で昭和17年より現在の住吉区へ移したこの寺は、本堂と座敷は江戸掘の伽藍をそのまま移築しているそうです。

その本堂の照明が消され、キャンドルの灯だけが揺らめいている様はかなりスピリチュアルな雰囲気。しかもその日は雨が降っており、その雨の音がまたこの雰囲気にめちゃくちゃハマっていてかなり幻想的。完全にその空間だけ時間が止まっているような感覚に陥ります。
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開演前に今回の主催者の人(イベント「おとのたび」の主催者)と話したのですが、何でもMishrasは前日に京都のとんでもなく山奥にあるお寺で公演したらしく、こちらもかなりスピリチュアルな雰囲気の場所だったみたいです。

そして定刻より一時間半以上も遅れてMishrasの登場(あまりにも時間の流れがゆっくりなので、気にならなくなっていましたが・・・)。一曲
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目はラーガの中でも有名なKirwaniでしたね。そういえば今までにCornershop岡野弘幹with天空オーケストラなどシタールを導入したバンドのライヴ
は観た事がありますが、こういったシタールだけのライヴは初めて。当初は眠ってしまうんじゃないかと思ったりしてましたが、全くの杞憂。

はっきり言って、これは「ジャズ」ですね。
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演奏が進むにつれて、若く躍動感のある演奏を見せる息子のDeobrat Mishra(まだ33歳)と、全く無口で眼光の鋭いレジェンドの父親Pandit Shivnath Mishra(66歳)による余裕の安定感を見せるシタールのせめぎ合い。さらにそこへDeobratの甥であるタブラ奏者Prashant Mishra(何とまだ16歳!)も加わってMishra家三代による壮絶なバトルとも言うべきシタールとタブラの応酬がスリリング過ぎます。ヒーリング的なものを期待すると、完全に裏切られるかなり壮絶な演奏でしたね。ヨーロッパではジャズ・フェスティヴァルにも出演しているというのも納得出来ますね。Pandit Shivnathの演奏もどんどん白熱して動きがアクティヴになってきます。
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ちなみにこの若きタブラ奏者Prashant Mishra君(下写真)はインドでは「Nextザキール・フセイン」と称される超天才少年だそうです。あどけない姿に油断するとぶっ飛ばされるくらい凄い演奏でしたね。終演後に彼と喋ってたらタブラを叩かせてくれたりとイイ奴でした。ザキール・フセインについてはHe’s a monster!!と言って、かなりリスペクトしている様子が窺えましたね。
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1時間くらいこのラーガを演奏。Deobratによると、インドでは普段は1つのラーガで3時間くらい演奏しているそうですね。そうする事によってラーガの形が見えてくると言っていました。3時間とは凄い・・・。

休憩を挟み、第二部。Deobratによって歌われる歌は、バラナシに伝わる伝承歌。これがホントに美しい歌声。眼光の鋭い父親も機嫌が良さそうです。
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さらにはそのPandit Shivnathの作った人類平和の歌の静かで穏やかな美しさは筆舌に尽くしがたく、ホントにこれなら3時間くらい演奏してもらっても全然構わないと思いました。

結局、休憩を含めて3時間近く演奏。静かに始まり、中盤から白熱してきて、ピークを迎えた後は静かに穏やかに終わっていくという1つの壮大なストーリーを見せられているようでした。
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まさにクンダリーニ。生で体感するとその素晴らしさは格別です。さらにはお寺という完全なる異空間、そして雨音の中という自然界の見事な演出が、この公演を忘れられないものにしてくれましたね。
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インドの伝統音楽の素晴らしさと奥深さを体感させてくれたMishras。インド音楽というのは、まだまだ全然詳しくないのですが、これを機にいろいろと勉強していきたいですね~。

   
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# by Blacksmoker | 2009-10-05 00:43 | ライブレポート

V.A. [7x7 Beat]


前々回紹介したThe Gaslamp Killer、そして前回紹介したHudson Mohawkeと、「Flying Lotus以降」のビートメイカーを紹介してきましたが、まだまだアンダーグランウドではとてつもない才能が眠っている。

じゃあ、どれを聴けばいいの?」、「一体どんなヤツらがいるんだ?」と思う人も多いでしょう。そんな人達に是非聴いてもらいたいのが、この「7x7 Beat」

f0045842_038016.jpgアイルランドのダブリンに拠点を置くレーベル「All City」がリリースするこのアルバム。ここで聴けるのは次世代を担う気鋭のビートメイカー達による最新のトラックばかり。これを聴くと確実に地殻変動が起きているのが分かります。

実はこの企画は、次世代を担う選ばれた7組のビートメイカー達が、自分の音源を7inchレコードというメディアを通して順々にリリースしていく企画。その名も「Beatstrumental」。そして、このシリーズの全音源をコンパイルしたものが、この本作「7x7 Beat」だ。今や入手が困難なシリーズもあるので、こうやってCDとしてまとめて聴けるのは非常にありがたい。

f0045842_0451350.jpgまずオープニングを飾る#1はLA在住のSnowman(右写真)。Fat CityレーベルのJack Sample Professionalsの一員として活躍する男ですが、今作ではファンキーでファットな生音系のドープなインストゥルメンタル・ヒップホップStreet Corner Music(ナイスなタイトル!)。さらには、もの悲しいディストピア的な近未来エレクトロ・ヒップホップRiseの2曲を提供しています。どちらもネタ感バリバリのヒップホップ・ビートですね。

そして次の#2Blacksmokerが最も注目している男、Mike Slott(下写真)の登場。
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グラスゴー出身。同郷のHudson Mohawkeと共にHeralds Of Changeを組んでいた相棒です。Hudson Mohawke「Polyfolk Dance」よりも、さらに重心を低くしたビートに、温かみのある煌びやかなシンセの人懐っこいサウンドが最高です。近未来的だがアナログ的でもあるパラレルな世界観が完全にオリジナル!今後もこの男からは目が離せないですね。

f0045842_1122819.jpgそして#3は個人的に今シリーズにおけるハイライト。フランスはパリ在住のFulgeance(フルジェンス)による、ねじれまくったエレクトロニック・サウンドRevenge Of The Nerd。分裂症気味なシンセのフレーズにクラップ・ビートが妙なドライヴ感を持って疾走するマッドな1曲。この曲はヤバイ!超クセになりますね。個人的には、このアルバムの中のベストトラック。次のトラックThe Mamieは完全にBPMを落としたダウンビート。こちらもクラップ・ビートでかなりドープ。Fulgeanceヤバイです。



#4はスペインのMweslee(ウェズリー)。
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インダストリアルなマシンビートにブリブリにヘヴィなシンセベースが唸りまくるシンフォニックなChandal 500。そしてソウルフルなコズミック・マシーン・ファンクJamas Jame Jamonと激ヤバな出来。Mwesleeはこのシリーズ最大の発見かも。

#5はフランスのLeneko。スペーシーで浮遊感のあるシンセにストイックなヒップホップ・ビートが融合した曲がなかなかイイですね。

そして#6は全ビートメイカーが注目するHudson Mohawke(右写真)の新曲が登場。他のビートメイカー達が2曲ずつ提供しているf0045842_1212532.jpgのに対し、彼だけが3曲も提供しているのはやはり注目度の高さでしょうか。しかし、この3曲でHudson Mohawkeが見せるのは「Polyfolk Dance」でのサウンドを期待する人を遥か彼方に置き去りにするサウンド。もはやHudson Mohawke「Polyfolk Dance」の地点にはもういないのか?完全に進化したビートを提示しています。ノンビート(!!)で、女性の声とグリッチ・ノイズとシンセだけで構成されたStar Crackout、さらにはグリッチ・ノイズの海に幽かに心臓の鼓動のようなビートが聴こえるRoot Hands、そしてクリック・ハウスのごときストイックなEverything Else Is Wrongと、全く新しいHudson Mohawke像を見せ付けられます。これはかなりの衝撃です。問題作と言ってもいいでしょう。

最後を飾る#7には、こちらも注目度の高いヴェトナム系フランス人のOnra(下写真)。
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かつてはヴェトナムで買い込んだレコードのみでビートを作った事もある奇才ビートメイカー。このビートの完成度の高さはハンパない。Maxwellにでも歌ってもらいたいほどのディープでソウルフルな極上のインスト・ヒップホップ・ビートです。このOnraも要注目です。

#7で終わりかと思いきや、最後に#0として収録されているのがスイスのDimlite!(左写真)Sonar Kollktivレーベルが誇るダウンビートの天才ビートメイカー。最f0045842_1283898.jpg近はRitornell(1stアルバム、ムチャクチャ良いです!)やPrefuse 73、そしてFlying Lotusのリミックスを手掛けて活動的になってきているDimliteのかなりヤバイ新曲Quiz Tears。ねじれまくったビートに、エフェクトかけまくったヴォーカルが被さるとんでもないイルな曲。これ、最後を締めくくるにはあまりにも変わった曲ですね。

どのアーティストも「ヒップホップ」でありながら、その枠に留まろうとせず果敢にその枠を飛び越えていこうとする明確な意志と主張がしっかり感じられます。その成果は自身で聴いてみて判断して欲しいが、そこに内包されるアーティストのパワーは充分過ぎるほどにアツイです。

ちなみに7inchシリーズのジャケットが、アフロなカンジでめちゃくちゃカッコイイので(Balck Jazzレーベルのジャケットみたい)、マニアは是非7inchで集めて下さい。ちなみに下写真がそのジャケットです!

#1 Snowman
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#2 Mike Slott
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#3 Fulgeance
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#4 Mweslee
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#5 Leneko
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#6 Hudson Mohawke
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#7 Onra
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#0 Dimlite
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今後のシーンを担うであろう若き才能を是非チェックしてみて欲しいです!

  
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# by Blacksmoker | 2009-09-14 00:10 | ELECTRONICA

HUDSON MOHAWKE [Polyfolk Dance]


前回紹介したThe Gaslamp Killer「Flying Lotus以降」のビートメイカーの中でも異端なのに対して、こちらはその系譜を受け継ぐ正統的後継者と言ってもいいでしょう。

スコットランドのグラスゴー出身のHudson Mohawke
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この男は間違いなく「Flying Lotus以降」のビートメイカーの中でも最重要人物だろう。LAでもロンドンでもなく、スコットランドのグラスゴーというのがなかなか面白いが、最近ではRusiteや、Mike SlottHeralds Of ChangeHudson Mohawkeと一緒に組んでいる)など要注目のビートメイカーがこのグラスゴーから出て来ているのはとても興味深い。
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まずはこのHudson Mohawkeとはどんな男なのか?わずか7歳でレイヴの洗礼を受け、10歳で初のミックステープを学校で売り捌き、12歳でプレイステーションのみ作曲を始め、14歳でターンテーブル世界大会のDMCとITFで史上最年少チャンピオンに輝くという(ホントかウソか分からんけど・・・)トンでもない超早熟な男みたいです。しかも2007年には既にMike Slottと共にHeralds Of Change「Puzzle」「Secrets」という傑作EPを連発していましたので、そのクリエイティヴィティはとてつもないです。

f0045842_2031755.jpgそのHudson MohawkeのデビューEPとなる「Polyfolk Dance」。何と「Warp」レーベルからリリース。これは「Flying Lotus以降」を語る上でハズす事の出来ない重要作です。

この音を一言で表すなら「ブッ壊れたエレクトリカル・パレード」。ヒップホップ的ビートの上に、切り刻まれたシンセサイザーのファニーで狂った上モノが煌びやかに散りばめられた不可思議なポップ・サウンド。一度聴くと相当クセになりますね。

そしてこのEPを聴いて、真っ先に思い浮かべるのがAphex Twinだろう。この独特のサウンドは明らかにAphex Twin(下写真)の影響下にあるサウンドだ。
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ここ数年に渡ってシーンに長らく不在にも関わらず、90年代にAphex Twinの影響を受けたアーティスト達がシーンに登場する事によりAphex Twinの存在や影響力はますます巨大になっているように思えます。(先日のSummer Sonic 09でもトリで凄いパフォーマンスを見せていました。)「I Care Because You Do」「Selected Ambient Works」「Classics」など、90年代中期の作品にも関わらず全く色褪せていないのが凄いです。

そしてこのHudson Mohawkeも、Aphex Twin、さらにはμ-ziqReflexの頃の)、そしてSquarepusherといったアーティストの偏狂的サウンドに思いっきり影響されているのが如実に分かります。だからと言ってフォロワーではないのはHeralds Of Change時代から証明されていますが、Hudson Mohawkeのこだわるのはあくまで「ヒップホップ」。その枠にあえて自分を落とし込み、そこからどこまで自由に逸脱できるかに挑戦している。そしてその挑戦は見事なまでの成果を見せていると言っても良いでしょう。
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特にA面の3曲の素晴らしさが全てを象徴している。1曲目Polkadot Blues(ちなみにこの曲は2007年リリースのHeralds Of Changeの曲Rock With YouのインストVer.ですね)、さらにはメルヘンなMonde、そして性急なビートにホーンを絡め、細切れに分断された女性シンガーの声をサンプリングしたOvernightなどは圧巻です。B面に収録されているモロにAphex TwinVelvet PeelYonardなども最高です。

全6曲のEPながら実にクリエイティヴィティ溢れる圧倒的な内容。感性を刺激してくれるポップで楽しいサウンドです。そしてFlying Lotusに続き、またも「Warp」レーベルの心眼の鋭さを証明する1枚になりそうです。
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11月に「Warp」20周年を記念して幕張で開催される「エレクトラグライド」に、BattlesFlying LotusClarkらと共に来日するHudson Mohawke。これは絶対に要チェックです!

ちなみにHudson Mohawkeって名前は、ブルース・ウィリスが主演した映画「ハドソン・ホーク」とは関係ないんですよね?
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# by Blacksmoker | 2009-09-10 00:13 | ELECTRONICA

THE GASLAMP KILLER [My Troubled Mind]


本当に「Flying Lotus以降」というカテゴリーまで作ってしまったFlying Lotusの1stアルバム「Los Angeles」

これは全てのビートメイカー達の新たな指標として捉えられることになった革新的なアルバムですが、時代はまだまだ変化します。これ以降も新たな才能が続々と生まれているのです。その中で今最も注目を受け、さらには一際異彩を放つのがこのThe Gaslamp Killer
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Flying LotusDaedelusらを輩出したことでも有名な、毎週水曜日にダウンタウンLAで開催されている人気パーティ「Low End Theory」のレジデントでもあるこのThe Gaslamp Killer。その正体はウィリアム・ベンズーセンのソロ・ユニット。
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彼がなぜこんなに注目を浴びているかは、2008年に出たThe Gaslamp KillerのMix CD「I Spit On Your Grave」を聴いてみればその理由が分かる。一言で表すなら「カオス」。サイケデリック音楽から、ジャズ、民族音楽、ダブ、B級ホラー映画音楽などをブチ込んでミックスしたとんでもなくアンダーグラウンドでヤバいMix CDなんです(OBEYによるアートワークもヤバい!)。さらに実際のDJプレイも凄いらしく、一度映像を観た事があるんですが、DJしながら暴れまわる野獣みたいな姿がかなり凄かったです。ちなみに彼はMF DoomのバックDJも務めたことがあるらしいです。

f0045842_2241367.jpgそんなThe Gaslamp Killerの初オリジナル音源となるEP「My Troubled Mind」が遂に登場。2000枚限定の10インチ・アナログ盤とデジタル配信の形態のみでのリリースみたいですね。

A面に3曲、そしてB面に4曲収録されていますが、それぞれの面にイントロが入っているので純粋な曲としては5曲しかありません。ですが、これがもう何とも形容しがたい実にヤバイ1枚。

Flying Lotus以降で語られるビートメイカーではありますが、その音は完全にその系譜から外れています。全くの異端。完璧なレフトフィールド。Mix CD「I Spit On Your Grave」で見せたあの「カオス」ぶりが如実に音に表われている。
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イントロに続くAnything Worseからしてその「カオス」ぶりは凄い事になっています。シンプルなドラムのビートにホラー映画のような不気味な効果音。基本のビートはずっと同じなんですが、ドラムが急に速くなったり、ドラムの音がエフェクトやイコライザーで次々に変化していったり、猥雑なホーンのサンプリング音が入ってきたり、最後は50年代のSF映画のようなチープな効果音になったりと、ぐるぐる音が変化していく様はサイケデリックそのものです。

その他にもシタールが怪しく鳴り響き、ダブっぽいSEが四方八方に飛びまくる曲や、タブラが鳴る曲や、ラウンジっぽいジャズのような曲(なぜか最後にマニアックな60年代フォークソングのサンプリングが挿入される)と、もう見事なまでのカオスぶり。無国籍で、アシッドで、サイケデリック。それを野獣のようなワイルドさでもって強引に1つのレコードに収めたようなEP。おそらく日本でならKiller Bongが最も近い存在ではないでしょうか。
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しかし、ただカオスなだけではなく、その音からは絶妙なセンスの良さが漂っている。狂人のようでいて、実は非常に頭の良い男なんだと思いますね。とてつもない野獣です。

決して時代を象徴する音ではないし、ましてや新しい潮流を生み出すようなアーティストではないですが、この完璧なまでの自由で奔放なアンダーグラウンドな音は、確実にビートジャンキーどもの心を捉えて放さないでしょう。レフトフィールドな異端の音楽。是非そのサイケデリアを体験して下さい。

     
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# by Blacksmoker | 2009-09-07 00:13 | ELECTRONICA