日本HIP HOP界最強のクルー、 MSC の3年振りのNew Albumが遂に出ました。
2003年の衝撃の1st「Matador」 以降、ミニ・アルバム「宿ノ斜塔」 やら漢のソロ・アルバム「導~みちしるべ~」 やら、各メンバーの客演、そして漢vs DABOとのビーフなどあったので久しぶりという感じではないが、クルー全員集合のアルバムとなると物凄い期待感と高揚感があります。 簡単に紹介しておくと、西新宿を根城にするHIP HOPクルーでメイン・ラッパーは5人。 漢、02、PRIMAL、TABOO、GO。その他には少佐、麻暴などのラッパー、そしてトラックメイカーにHardtackle_33、O-Kiなどが所属しています。「フリースタイル」を特技にし、どんな時でもラップが出来るこいつらの登場で日本のラップの考え方が全く変わってしまったといっても良いでしょう。とにかく漢をはじめとして各メンバーのスキルが高く、新宿の一番闇の部分を描写するリリックは衝撃を受けるとともに心に何か嫌な気分を残してくれます。まずは1st EP「帝都崩壊」 を聴いてみて下さい。 さて今回のアルバム「新宿Street Life」 、以前とかなり変わった点があります。まずは全体的に曲がフック満載で歌いやすい事。今までの”陰”なイメージから”陽”なイメージに変わってきています。聴く者に不快感を残す描写も(こちらが慣れてしまっただけなのか)あまりなくなっているような気がします。まるで「帝都崩壊」 の頃とは別グループと言ってもいいでしょう。 そしてトラックの完成度の高さにも注目。Maki The Magic、I-Dea、Illicit Tsuboiなど錚々たるトラックメイカーが名を連ね、味のある大人なトラックを提供しています。正直前作「Matador」 のようなダークな雰囲気が好きだったので最初このアルバムを聴いた時は思いっきり面喰いましたが、何回も聴いているうちに段々慣れてきましたね。 特に印象に残った曲としては警察批判の「心にゆとりとさわやかマナー」という曲。 『サイレン鳴らして 無駄吠えするポリ公』というフックも痛快だが、O2の「ギャング化したお巡りの刀狩り メランコリーな歌舞伎町」とか「ロリコン野郎クソポリ公」やら、麻暴の「ろくに女知らねーのに無駄に光るバッジ カマ野郎お前ら2丁目行ってなビッチ」 、漢の「分かってんのかクソポリ公 分かんなかったら1本巻いてやるから俺と試しに一緒に吸ってみろ!」 これは正に新宿版N.W.A.「Fuck The Police」ですよ。ご丁寧にも「Fuck The Police」のサンプリングまでされてます。 さらに千葉の刑務所から出てきた少佐、イラン人の額にビール瓶を渾身のフルスイングした麻暴、そしてJUSWANNAなどかなり活躍しており、ゲストにはレペゼン大阪、ゲットー西成からシンゴ☆西成、そして韻踏合組合からERONEとSATUSSYと大阪勢も頑張ってます。特に「Time Is Money」のSATUSSYのリリックには平伏します。メインの5人のスキルもレベルアップしており、GOやPRIMALも凄いが特にO2は神がかってきましたね。今年の日本のHIP HOP界最大の話題作。チェックして下さい! #
by Blacksmoker
| 2006-01-29 22:42
| HIP HOP
2001年にパット・メセニー・グループに電撃加入してファンを驚かせたベトナム人トランペッター、クオン・ヴーの最新作「It’s Mostly Residual」 (邦題は『残像』)。通算5枚目のソロ・アルバムです。
この人はパット・メセニー・グループのレコード上での影は薄いのだが、実際のライブになるとパット・メセニーととんでもない音のバトルを繰り広げて強烈な存在感を放ちます。音的にはマイルス・デイヴィス直系。優しく穏やかで美しいメロディにうっとり心酔していると、突如ノイズを放ちながら自在に暴れまくる雷鳴のようなブロウに変化したりします。 今回のアルバムではベースにツトム・タケイシ、ドラムにテッド・プア、そしてギターには何と御大ビル・フリーゼル が全面参加しているのが話題です。クオン・ヴーの雷鳴のようなトランペットの応酬に、ビル・フリーゼルも最近の彼の作品で聴ける美しいギターの音色とは打って変わって、エフェクトをかけたエレクトリック・ギターの奇怪な音で応えるバトルが凄まじい!!まるでKING CRIMSONのエイドリアン・ブリューのようなギター音です。かと思えば次の曲ではガラっとフージョン系の音色に変わったりとかなりバラエティに富んだアルバムです。マイルスで言うと「Bitches Brew」 のような感覚で楽しんで欲しい。 ちなみにクオン・ヴーの参加しているパット・メセニー・グループのアルバムは「Speaking Of Now」 (2002)[写真]と「The Way Up」 (2004)の2枚。特に「Speaking Of Now」 は参加メンバーがリチャード・ボナ、アントニオ・サンチェス、クオン・ヴーという今見ても鳥肌が立つくらい凄いメンツです。ちなみにこのアルバムではリチャード・ボナは本業のベースではなく「ボーカルとパーカッション担当」ですけど…。 「The Way Up」 はまだ未聴だわ。 #
by Blacksmoker
| 2006-01-26 03:09
| JAZZ
これは面白いアルバムです!
アメリカでは相当な人気を誇るイン・ヤン・ツインズの最新作「U.S.A.(United States Of Atlanta)」。 ビルボードでは初登場2位を記録。2005年のHIP HOPシーンはDAVID BANNERやCHAMILLIONAIREやMIKE JONESそしてPAUL WALLなどサウス勢が例年以上に元気でしたが、このイン・ヤン兄弟も勢いありました。 なんといってもエポック・メイキングなシングル曲「Wait(The Whisper Song)」 !!これはSNOOP DOGG 「Drop It Like It’s Hot」 や CLIPSE 「Grindin’」 と同様のアイディア勝ちの1曲と言っていいでしょう。タイトル通り「囁きラップ」。 「Drop It Like It’s Hot」よりも無駄な音を削ぎ落とした超シンプルなトラックにいつもはダミ声のイン・ヤン兄弟が最初から最後まで囁いてるだけというおそろしくストレンジな曲。これが超中毒性のある曲で、一回聴いたら頭から離れなくなるでしょう。俺は車で一日中この曲をリピートして、この曲しか聴かなかった日もありましたね。またこの曲のPVが強烈。黒い部屋に女性をはべらせてる(よくある)PVなんですが、その数が尋常じゃないんです!おそらく50人くらいいるんじゃないでしょうか。この映像には目が釘付けになりますよホント。 そしてこの「Wait」ですがトラックはそのままでフィーチャリング・ラッパーを増やしたRemixもしっかり作られており、ドクター・ドレのAftermath Records移籍後のアルバムが待たれるバスタ・ライムス、そしてG-Unit入りが話題のリル・スクラッピーに、女性MCのフリー、そしてミッシー・エリオットという豪華メンバーが大集合して囁いてます! ちなみにこの曲のリリック内容ですが思いっきり下ネタ。文字にすると最低すぎて恥ずかしくなるんで各自でチェックして下さい。 さてこの「囁きラップ」の大ヒットを受けて、早くもDAVID BANNERが「Play」というまんま囁きラップのシングルをリリースしてヒットさせてしまいました。しかもその曲を製作したのが”本家囁き”の「Wait」を制作したMr.コリパーク本人というから笑えます。 さて「Wait」の話題ばかりでしたが、他の曲も良い曲満載です。ゲストも豪華でBUN B、PITBULL、JACKI-Oなどサウス勢からANTHONY HAMILTON、AVANTなどのシンガー、そしてMAROON 5のアダム・レヴィーンなど盛りだくさん。個人的にはNew Albumが超楽しみなANTHONY HAMILTONの曲が良かったです。このアルバムはMr.コリパークがトータル・プロデュースを手掛けているそうで、この人あまり知らなかったんですがとても面白い人ですね。トラックも良いです。ジャケにひかず聴いてみて下さい。 あっ、あともちろんLil’ Jonも参加してますよ。 #
by Blacksmoker
| 2006-01-23 03:00
| HIP HOP
いっぱい書きすぎると先達みたいに途中で息切れするので短くいこう。
2005年に出たライブ・アルバムでは文句なしの素晴らしさだったウィルコ の「Kicking Television: Live in Chicago」。 2004年シカゴで行われた2日間のショウを収録したライブ盤です。 UNCLE TUPELOというカントリー・ロック・バンドの解散後に残ったメンバーが集まって出来たこのバンドも、徐々にVo.のジェフ・トゥイーディを中心としたソロ・プロジェクトのようなバンドに変貌を遂げてきて、ここ最近はどんどん実験的な方向へシフトしてきてます(近作ではジム・オルークも関わってる)。それと同時に今のロック・バンドの中でも最も面白いバンドになってきています。 カントリー・ロックが好きなら「Being There」、実験的なロックが好きなら「Yankee Hotel Foxtrot」 がお薦めですが、このライブ盤は両者のファンを納得させ、尚且つ新たなファン層を獲得するであろう作品です。音が生々しく凄い臨場感!特に新加入のギタリスト、ネルス・クライン(ジャズ畑出身らしい)がヤバい音を聴かせてくれています。近作中心のセットですが、特に前2作の曲のメロディの良さが際立ってます。2日間のショウのベスト・テイクを集めて編集を施したそうですが、いつもなら「何手加えてんだ!」って思うのですが、こんなに素晴らしいなら全然編集してもらっても構わないですね。 #
by Blacksmoker
| 2006-01-21 23:56
| ROCK
2005年を振り返った時にかなり印象に残っているがこの男、ライアン・アダムス(31)。この人はかなり気分屋で扱いにくいことでも有名ですが2005年はかなりやってくれました。
何が印象に残ったかというと、まず①「2005年はアルバムを3枚リリースする」と宣言し、きっちり実行した事。そして②待望の初来日をFUJI ROCK FESTIVALで飾った(しかも2日目のトリ)までは良かったが、途中で機嫌が悪くなってステージ予定終了時刻を1時間も早く切り上げてさっさと帰ってしまった事。この2つが特に印象的でしたね。特に②なんかは、ドタキャンしたりキレるのは良く聞いていたが実際に自分の目の前でやられた日にゃ「何なんだよコイツは!」って呆れて物も言えませんでした。あの日大雨の中ライアンのステージを観ていた人は皆同じ気持ちだったでしょう。 しかしこの人の憎めないトコロはきっちり良質の作品を仕上げてくるところ。まず3枚のうち第一弾は5月に出た「Cold Roses」。しかも2枚組!!これは前作にあたる「Love Is Hell」で作り込んだ音とは違ってTHE CARDINALSというバンドを従えたバンド・サウンドが中心の音。しかもこのTHE CARDINALS、ライブで観ましたがかなりのツワモノ揃いでガッチリまとまった素晴らしい演奏を聴かせてくれます。つられてかライアンのソングライティングも冴えまくりでとても完成度の高い素晴らしい作品でした。 第二弾は9月にリリースされた「Jacksonville City Nights」。これが再びTHE CARDINALSを従えてのカントリー・アルバム!これは現代版THE BYRDSの「ロデオの恋人」です。スライド・ギターの音色がたまりません。個人的には2005年BESTアルバムの出来。ノラ・ジョーンズも参加。 最後は12月にリリースされた「29」。ライアン・アダムス名義に戻っての作品で非常にシンプルでしっとりと落ち着いたアルバム。結構悲しい歌が多く、深みのある声で歌われる落ち着いた曲がメランコリックな気分にさせてくれます。ジャケはライアン作。 このように2005年に3枚(実質4枚)もアルバムをリリースした彼ですが、夏以降はUKツアーやUSツアーのキャンセル、そして御大フィル・レッシュ&ザ・フレンズのツアーもドタキャンという狼藉ぶりは相変わらずでした・・・。 しかし2000年のソロ・デビューから数えてみたら僅か5年でもう9枚もアルバムをリリースしてるじゃないですか。しかもどれもハズレなし。凄い才能です。ニール・ヤングも昔はこんな感じだったのでしょうか。是非今年は再来日して素晴らしいライブを見せて欲しいものです。 #
by Blacksmoker
| 2006-01-19 13:02
| COUNTRY / BLUEGRASS
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